いつも録画をして、それを観ているのですが、

 

今回はなかなか観る気持ちになれなかった…


 

 

平岡円四郎 暗殺

 

 

渋沢栄一の物語である以上、避けては通れない史実です。

 


今回は、平岡円四郎様を中心に

感想を書きました😭😭😭








冒頭、”人選御用”の密命のため、関東へ出立した栄一(篤太夫)と喜作(政一郎)。

 




偶然を装い、見送りに来た円四郎と、しばしお茶を啜ります。

 




久々の江戸や大役に意気揚々とする栄一に、

円四郎は

「元は武士じゃねえってことも忘れんなよ。

無理に死ぬのを生業にすることはねえってことさ。

お前は、お前のまま生き抜け、必ずだ。」

 

と声をかけます。

 

これは、栄一と喜作の、その後の人生の変転をも予言するような内容ですね。

 

そして、挨拶をして旅立つ二人。

 

まさか、これが、円四郎との最後の会話になるとは、思いもよらずに・・・

 

 

冒頭のこのシーンから、もう涙が・・・・

 

 

 

そして、京の一橋家藩邸。




 

水戸のお家騒動による天狗党結成に頭を悩ませる、慶喜と円四郎。

 

御三卿である一橋家は自分たちの軍兵をもっておらず、

その募兵のために、栄一と喜作が抜擢された経緯があったのでした。

 

「その者たちは大丈夫か?」 と不安げな慶喜に

 

「私の人を見る目は確実です。殿に初めてお会いした時もその器量に惚れ込み

女房が嫉妬するくらいでした。」

とBL告白モードの円四郎。  




 

しかし慶喜は、

「自分は不思議な輝きがあり、その輝きに回りが勝手に魅了されて

命がけで従ってくれているが、それは幻にすぎぬ。

その本質はただの汎夫。

ただただ、実直に天子様と公方様をお支えしたいだけなのだ。」

 

と野心の欠片もない本音を吐露され、

ますます、この御方だと確信をもつ円四郎は、

 

「殿こそ、東照大権現様(家康)の生まれ変わりです。

殿の元にまとまった新しい国を見るまで 

尽未来際、御傍を離れません。」と

 

深々と頭を下げるのでした。

 

この時の、はにかんだような笑顔のつよぽん慶喜はリアルに輝いて見え、

円四郎は、その輝きに目を細めるのです。




 

ああ、もう涙が・・・

 

 

草彅剛さん演じる慶喜と、堤真一さんとの、

ほのぼのシーンも見れなくなるのかと思うと・・・

 

涙・・・

 

 

小姓として初対面の円四郎の、あまりの不作法に

慶喜自ら杓子を取り椀に飯をよそおい、作法を丁寧に教えたシーンは

堤さん&草彅君の名場面として有名ですが、

 

これも史実だそうです。

 

そんなほのぼのシーンを思い出しながら、

二人の会話はもう見納めなんだなと思うと、胸が締め付けられそうです。

 

 

雨が降り出したその日は

 

元治元年(1864)年6月16日。

 

家老・渡辺孝綱の宿を訪れたその帰路でした。

一橋邸に近い、現在の西町奉行所の周辺。

 

突然、円四郎は刺客に襲撃され、


命を落としてしまいます。

 

刺客は水戸藩士の江幡弘光や林忠五郎。

 

水戸藩内部の内ゲバでした。




 

 

堤真一さんの

「嘘だろ・・・

まだ見たいことが山ほどある

 

死にたくねえ・・・」

 

あまりにも無念でした。

 

慶喜による幕府の再興に光が見えたまさにその時の悲劇。

 

渋沢栄一はその自書「実験論語処世談」で恩人暗殺についてこう述べています。

 

「平岡円四郎は、全く以て

一を聞いて十を知るといふ質で、

客が来ると其顔色を見た丈でも早や、

何の用事で来たのか、

チャンと察するほどのものであった。


然し、斯る性質に人は、

余りに前途が見え過ぎて、兎角他人の

さき回りばかりを為すことになるから、

自然、他人に嫌はで、

往々にして非業の最期を遂げたりなぞ

致すものである。

 

平岡が水戸藩士の為に暗殺せられてしまうやうになったのも、

一を聞いて十を知る能力のあるにまかせ、

余りに他人のさき廻りばかりした

結果では無からうかとも思う。」

 

 

 

一を聞いて十を知るほど、

能力に優れた円四郎であれば、


慶喜が幕府、もしくは新しい政治形態の中心に新しい世を作りあげる未来をも

見ていたのではないでしょうか?

 

惜しむらくは、その未来を読む洞察力で、

自身の命が狙われている事を察知して

より用心してほしかった。


 

刺客二人を切り伏せた

川村恵十郎様の絶叫が辛い・・・・




 

まるで、慶喜のよる大政奉還を実現させた直後に暗殺された、坂本龍馬のようです。

 

 

 

 

平岡円四郎は、水戸斉昭の要請で、

藤田東湖や川路聖謨に見いだされ、

慶喜の「直言の臣」となり

慶喜の側近として台頭。

 

 

やがて、その円四郎が、

江戸に遊学してきた尊王攘夷かぶれの農民の息子、渋沢栄一を見出し、

一橋家の家臣として取り立て、

その栄一が、慶喜の生涯の臣下となる・・・

 

すべては、慶喜を中心に回る惑星のようです。

 

 

自他ともに認める慶喜の右腕、

円四郎の死に嗚咽する慶喜。




 

「尽未来際、傍にいると言ったではないか。」


 

涙腺崩壊。

 


能面のごとく

他人には自分の本心を見せない慶喜にとって

それは、親友の死とも等しい、

喪失感であったでしょう。

 

 

 

 

 

円四郎の悲劇が起こった6月16日、

ドラマの通り、渋沢栄一と喜作は、

関東にて募兵に奮闘中でした。

 

その凶報が関東へもたらされたのは、

6月末か7月末。

 

栄一翁の自伝「雨夜譚」には

 

「自分らが昨年京都に着してから、一橋家

杖とも柱とも頼んで居る人が、

ソウいう不慮の災難をうけたことであるから、

その凶報を聞いた時には実に失望極まった。」

 

栄一と喜作の衝撃のほどが分かります。

 



円四郎の愛妻、やすさんは、

夫の死を知り、気丈にも

掛け軸の小鳥に語り掛けるのでしょうか。



 

そういえば、オープニングのアニメーションでは、小鳥が天空へと舞い上がるシーンがありましたね。



 

それは、円四郎と栄一との絆を暗示していたのかもしれません。