「凄い戻ってるよー」

私が診察室のドアを開けるなり、
クールビューティ(主治医)が言った。

「本当に!?よかったー
嬉しさのあまり小躍り状態。
多分この辺までの会話、
待合室まで丸聞こえ(笑)



グラン(グランシリンジ)様ありがとう。
軽い腰へのジャブも許せちゃうわ。


2日間打ったグラン様のおかげで
白血球  2500→16200
好中球  325→11826



ちょっと増えすぎじゃない?
って位のV字回復。
今日も打ってるから更に増えたりして。


「あー良かった。家で除菌対策したもん」
「そうかそうか(笑)」
おハゲな頭を、除菌ウェットティッシュで
拭いてたとは流石に言えないが。


「しかし、2日で戻るものだね先生」
「そうだねー。まぁ、グランに反応しやすいって事かな」


そうか、グラン様とは相性がいいのか。
腰へのジャブも前回ほど酷くはなかったし。


「先生、今回は腰の痛みは少し楽だったよ」
「前の痛みもグランじゃなかったんじゃない~?なにか他の痛みだったとか(笑)」
「いや、あれは絶対グランのせいです」


クールビューティは、グランで腰に激痛が出る例にあまり会ったことがないらしい。
看護師さんは、
「時々いますよ~。体調にもよるみたいね」
と言っていた。
まぁ、今回は軽いジャブ程度だったので
ラッキーだったのかな。


「これでもやっぱり3クール目は減薬しないとダメ?」
気になっていた事を聞いてみた。


「うん、減薬。これだけ落ちるのを見ると、
せざるを得ないね」
「私、パーフェクト目指してるから減薬したくないんだけど…それに減らすと不安だし」


減らした分、効果が落ちるんじゃないかと
不安になる自分がどうしてもいる。


「減らしたから効果が落ちる訳じゃないから。脅す訳じゃないけど、体力のない人は抗がん剤で命を落とす人もいるんだからね。甘く考えちゃダメ」
「うーん…」


しぶる私の方を向いて、
クールビューティは真顔で言った。

「抗がん剤で好中球が落ちて、他の病気に感染して命を落としたら意味がないでしょ?
その為にこうやってこまめに血液検査してるんだよ。好中球の減り具合によって、減薬の規定もちゃんとあるんだから大丈夫。
なんせまだ2クール目だし。減薬よりも定期的に抗がん剤を続けていくのが一番大事なの。そのために、じっくり見ていかないとね」


そうか、
私はB型肝炎キャリアでもあるんだった。
今は全く発症してない(一生しない人も多い)けど、下手をすると免疫が落ちすぎて、
激症肝炎になんて事も有りうるわけで。
その辺も、クールビューティを慎重にさせてるのかもしれない。


「ハイ。分かりました」
ここは素直に我が主治医に従おう。


来週の血液検査と診察の予約をして
今日は終了。


帰ってから自宅で書類仕事をこなしていると、心友から電話がかかってきた。


「はいー?」と出ると
「…はい。」

んん?

「はい、モシモシー?」
「…だから、はい。」

「なんなのさー??」
「いや、電話くれたじゃん(笑)」

へ…?

聞くと私からの着信が残ってたらしい。
そんな馬鹿な。全くした覚えがない。


「なんだよ、イタ電ー?
俺は働いてる最中なのに酷い人だねえ」
「いや、本当に覚えがないんだって。
鞄の中で何かに当たってリダイヤル
したのかなー?」


「で、調子はどうなん?」
と、聞かれ


抗がん剤で好中球が激減したこと。
3日間隔離されそうになったこと。
グランでV字回復したこと。
でも減薬になるので不安なこと。
を、つらつらと話した。


「大人しく隔離されときゃ良かったのに」
「嫌だわー。退屈だし」
「ふーん。まぁ何と言うか、
薬の効きやすい子だねぇアナタは(笑)」


まぁそうか。
抗がん剤の骨髄抑制出すぎて
好中球隔離レベル
からの
グラン効きすぎて2日でV字回復


確かにアップダウン激しいわ。


「癌もさ、今は体の中にないかもしれない訳でしょ?」と、心友。


先生は全て取りきったと言ってたし、
術中に破れて少しこぼれてⅠa→Ⅰc1になってしまったけど、最終病理では卵巣内のみで
他に転移はなかったそう。
でも、ミクロレベルは分からないし、
明細胞だし念のために叩こうと言われて…
で、抗がん剤してる訳だけど」

「ならそうも心配せずに、
まずは先生の言うことを聞いてたら
いいんでない?」


うん。分かっちゃいるけどね
それでも不安なのさー
それがリアル癌患者ってなもんよ!
なんてったって厄介な明細胞なんだぜ!
消し去ってやるけどネ!ふふん
↑なぜ威張る?


「きっと不安になったもんだから、
知らん間に電話発信しとったんだわ私」

「怖っ!生き霊か!?」


生き霊かもね(笑)


パーフェクト目指してたのになー。

好中球が下がりすぎて、
減薬を経験した方も多いのかしら?
不安になりませんでした?

仕方ないけど、ああ残念。