Fine place (小説練習)
世界は美しい、と唱えてみる。実際のところ、世界を構成する人間というものの本性に、醜い部分というものが存在するのは否定できないし、穴ぼこだらけの社会システムの中で私たちは生きているし、自然界にだってお世辞にも美しいとは言えない現象、景色がある。でもそれと同時に、例えそれが表面的なものだったとしても、「美しい」と言える側面がこの世界にあるのも事実だ。少し古い時代に君が生まれたとしよう。親が勝手に君の結婚相手を決めてしまった。どこにでもいるような、良いところもあれば悪いところもある平凡な相手だ。これからずっと同じ屋根の下で過ごすことになる。こんな時、逃げるというのも1つの手段ではある。だがしかし、もし、逃避という選択を放棄し、共に生きる方を選ぶとき、君は相手の悪いところをつぶさに数え上げていくだろうか。それよりもその人の長所に目を留める方が、建設的ではないだろうか。この世界に対してだってそうだ。ただ、醜い部分を無視するというわけでは決してない。それに対処しなければならない時も必ずある。だがずっとそのことばかり考えているのも健康的ではないということだ。もし君が悪い方向に想像を膨らませてしまって、「もしかすると、相手を見誤っている可能性がある。普通だと思っていたけど、卑劣で残忍なやつだったらどうしよう」と思ったとする。だけど、それはまだ先にならないと、その時にならないと分からない。それとは逆に、思ってたより素敵な相手だったと判明するかもしれない。世界が牙を剥いて襲いかかってくる、そんな最悪の事態が起こるまでは、世界は美しい、と唱えて生きるのも悪くないと思う。