ご無沙汰しております

皆さま

お変わりありませんでしょうか

 

 

ようやく

ゆっくりと過ごせる

休みがとれたので

 

 

2022年2月

 


この一月の間に起きたこと

 


自分が感じたこと

 


ここに

書いておこうと思います

 

 

 

 


 

2月の初め

 

 

病院の感染対策チームの一員として

新型コロナウイルス対策について

考え、行動してきた私が

想定し得る最悪の事態が起きました

 

 

 

 

この2年間

 

 

病院内に持ち込まれないように

水際の対策に重点を置いて

 

 

職員の行動を制限して

感染対策に多くの時間と労力をかけて

 

 

それでも

いつ持ち込まれるかわからない

もうすでに

入り込んでいるかもしれない

 

 

100%の安心なんて無い

 

 


そんな

綱渡りのような日々でした

 

 

 

 

 

1月末

第6波のピークに向かって

地域の新規感染者数が大台を超え

 

 

感染力の高いオミクロン株の脅威に

なす術が見つからないと考えていた時

病棟内で

一人目の感染が明らかになリ・・・

 

 

解っていた事ですが

その時にはすでに手遅れ、でした

 

 

 

 

 

この2年間に私がして来たことは

後方から見ていただけの

全てが想像でしかなくて

 

 

"守り"を固めることだけを

考えて来ましたが

 

 

感染が発覚したその時から

 

 

本当の意味での

新型コロナウイルスとの戦い

 

 

"実戦"が始まりました

 

 

 

 

 

1日でも早く終息させるために

何をすべきなのか

何が足りないのか

 

 

優先順位を考える時間もなく

状況は変化していって

 

 

それが未経験のことであっても

的確に対処しなければならない

 

 

ここで間違えてはダメだ

 

 

そんな緊張感の中で

自分の役割を果たすことに

全神経を使う

 

 

そんな毎日で

 

 

 

対策の拠点となった感染対策室と

レッドゾーン(感染者区域)

となった病棟を行き来して

次々に起きる問題の答えを探す

 

 

これ以上感染者を増やさないため

最悪の事態の中で

最善を探す

 

 

そんな戦いでした

 

 

 

 

 

 

目に見えないウイルスとの戦いは

勝利を目指す戦いではなく

これ以上"負け"を増やさないこと

 

 

院内感染が起きた時点で

すでに"負け"は決まっていて

 

 

それを大きくしないために

最小限にするために戦うのが

私たち

感染対策チームに課せられた仕事です

 

 

この一月の間

 

 

夜遅くまで病院に残り

対策を話し合い

現場をフォローするため

休日も返上しました

 

 

 

 

家に帰って来てからも

自分がすでに

感染しているかもしれない

自分がウイルスを

持ち帰って来ているかもしれない

 

 

そんな不安から

家族との接触を最小限にするため

帰宅してもマスクを外さず

自室に自分を隔離して過ごしました

 

 

 

 


 

そんな生活が始まって

しばらく経ったある日

感染対策室から病棟へ向かう途中

 

 

外来の待合が見える通路で

待合にあるテレビに

結弦さんの姿が

映し出されているのが見えました

 

 

それは天と地との衣装に身を包み

演技が始まる位置に移動を始めた

羽生結弦選手でした

 

 

 

 

 

そうか

今日はフリーの日だった

今ここで立ち止まれば

フリーが見れるんだ

 

 

そんな考えが

一瞬頭をよぎりましたが

 

 

私が今すべきことは

ここで見ることではない

 

 

迷いを振り切るように

そのまま歩くスピードを緩めず

心の中で「頑張れ」とだけ呟いて

 

 

患者さんの検査のために

病棟のレッドゾーンに向かいました

 

 

 

4年前

患者さんや大勢のスタッフと一緒に

羽生選手のSPを見たその場所には

その時

数人の人影しかありませんでした

 

 

 


 



 

結局、北京オリンピックも

フィギュアスケートも

見る機会がほとんど無くて

結弦さんの演技も

一回ずつしか見ていません

 

 

時間に余裕が出て来た今でも

ゆっくり録画を見よう

という気持ちになれないでいます

 

 

この1ヶ月に起きた事が

まだ消化できていなくて

仕事が頭の中の大半を占めていて

フィギュアスケートを

楽しむ余裕がないのです

 

 

 

 

 

スポーツも

音楽も

 

 

心から楽しむためには

確約された日常

"平穏"が必要だったのだと

改めて感じています

 

 

そして



遠い国で起きている

理解し難い事実を知って

その思いがさらに強くなりました

 


 

ひとの命を守ること

 


 

日常が"日常"でなくなれば

その最優先とすべきものだけに

意識を向けなければならない

 

 

他のことを考える余裕など

なくなってしまうのだと・・・

 

 

 


 



 

この2年間

私達が積んできた努力は

良い結果を残せませんでした

 

 

努力が足りなかったから

諦めていた部分があったから



最悪の事態を

防ぐことが出来ませんでした

 


報われたいと思うこと自体

甘かったのだと感じています

 

 

これまでの自分達の行動を振り返り

反省点を洗い出し

次に備えなければなりません

 

 

まだ戦いは続いています

ここで諦める訳にはいきません

 

 

日常に戻るのは

まだ先だと思っています

 

 





そんな私とは

比べることも出来無い

別次元のことですが

 

 

「努力は報われない」

 

 

その言葉を言えるのは

自分を甘やかさなかった人だけだと

痛切に感じました

 

 


そして

たとえ報われなかったと思っても

結果として残したことが

何よりのその証となった

 

 

それは

全てに対して

誇るべきもので

 

 

結弦さんの努力は

"証"と言う

実を結んだのですから



前人未到の偉業を

成し遂げたことに

変わりはないと思いました


 

 

 

 

 

 



最後に

 

 

今、医療の現場でも

感染対策やワクチン接種のために

マンパワーが必要な状況であるのに

自宅待機せざるを得ない職員がいて

他業種と同じように

人員確保が難しくなっています

 

 

その自宅待機となっているほとんどが

同居家族は全員発症しても

職員自身は発症せずに

濃厚接触者となっているケースです

 

 

職員だけが発症していないのは

医療従事者として

感染対策が身についているから

というだけではなく



3回目のワクチン接種が

済んでいたことも

理由の一つだと思います

 

 

私自身も

レッドゾーンに入る時や

陽性患者さんに接する時に

追加接種を終えていたことが

気持ちの支えになっていました

 

 

ワクチン接種が

自分を守るために必要だったことは

間違いありません

 

 



もちろんワクチンで

全て防げるわけでもなく

副反応の不安もあり

躊躇う方も多いと思いますが

 

 

私のこの体験を

参考にして頂けたらと思います

 

 

 

 

 

 



 

 


日常を奪われた多くの人達に

安心して過ごせる日が

1日でも早く訪れますように

 

 


皆さまの明日が

日常でありますように

 

 


皆さまが

健やかでありますように・・・

 

 


日常の大切さを知った

"あの時"を思い出しながら・・・





あひくま 🍀