こんにちは。
読んだ本について書きます。
奴 西加奈子 著
『ごはんぐるり』に収録された短編
突然の喉の激痛に、入院をしたハナコ。
27歳で小説家としてデビューし、今の自分に欠けているものはない、と、慢心していた矢先の出来事であった。
それは『奴』の魂胆か。
食事を摂ることができず、点滴のみで過ごす彼女に降りかかる、食の誘惑。
そして、ようやく再開することができた食事に、ハナコは感動をするのであった。
扁桃腺が腫れて、一切の食事を摂ることができなくなったハナコが食べ物の妄想をするシーンは、かわいそうながらも、少し笑ってしまいます。
小説家のハナコらしく、自分を陥れた存在『奴』を設定し、そして、その見えない存在と戦う、という姿は、日常を非日常にし、その事に少し楽しみを見いだしているようにも思えます。
そして、食事を再開できた時の、ハナコの感動は、読み手にも痛いほどよくわかり、その後の惨事には、同情するしかありませんでした。
ではまた。
*本についての内容理解や見解は、全て個人的なものです。