第57回日本神経学会 学術大会 「ALS後編」 | 愛ほっと日記

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こんにちは。今日はこの前の続きで、残りのポスター演題、ALSの症例2例を紹介します。

ALS患者の神経内科受診遅延例の問題点」

山口大学大学院医学系研究科 神経内科学

小笠原 淳一先生

 

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大学病院神経内科の遅延症例の特徴

●受診科と初診受診科は整形外科が多い

●球麻痺型※1が少ない

●線維束性収縮※2が出現しにくい

Flail arm型、Flail leg型が多い

●整形外科で手術を受けている症例が多い

つまり、専門医でなければALSの診断を下しにくい症例が多いという事でした。

解決策としては整形外科との密接な連携と注意喚起が必要ということで締めくくっていました。

1 球麻痺とは舌や咽頭、喉頭、口蓋などの筋を司る神経の麻痺。つまり延髄の運動覚の障害による麻痺。

2 線維束性収縮とは運動神経や運動神経細胞に障害が起きた時に筋肉がぴくぴくと小さく痙攣しているように動くこと。

 

「筋萎縮性側索硬化症の在宅看取りにかかわる要因の分析」

国立病院機構医王病院 神経内科

駒井 清暢先生

 

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●進行期ALS医療・ケアの多様化複雑化に伴い、看取りの場も多様化

●地域の医療・ケア資源との密接な連携によって穏やかな看取りを実現

●一方で、病像や支援体制の変化により看取り方の見直しを迫られることも少なくない

●今後のALS在宅看取りには、病例蓄積と地域医療介護資源との情報共有、連携強化が重要

 

ALSという疾患は一昨年、アイスバケツチャレンジで一気に有名になった病気です。しかし、その本質は大変複雑で進行性の神経疾患の中でも進行が早い病気とされています。そのため、神経内科の受診が遅れ、ALSの診断がつけられないまま進行していくと、人工呼吸器の有無や尊厳死に対する意思表示ができなくなってしまう危険性が高くなります。

ALSの初期症状の出現の仕方は色々とあります。そのうち、上肢や下肢の筋萎縮、運動麻痺からスタートした場合、おそらくほとんどの方は整形外科へ受診することが多いのではないかと思います。ALSに詳しい整形外科医であれば即座に神経内科に紹介するのですが、まれにALSの診断を付けられずに整形外科で治療を行い、手術までしたが病状が回復しないということもあります。これは整形外科の先生の問題ではなく、それほどALSの診断は専門医でないと難しいと捉えていただいたほうが良いと思います。

アイスバケツチャレンジでせっかく認知度が増した病気です。決して一過性のものとせずに、認知度が増したことで神経内科への受診の遅れるケースが少なくなるように願います。