ルームシェア素顔のカレ for GREE
期間限定イベント
代官山
Valentine's Day
~とろけるほどの甘い愛をあげる~
開催期間【1/31-2/14 16:00】
朝比奈大輔
ノーマルエンドのレポです
※主人公の名前は脳内変換させてご覧ください
NormalEnd 今までで一番
episode1
「いらっしゃいませ」
大輔はバーのカウンターでシェイカーを振っていた。
バレンタイン当日の今日、店内はカップルや女性客で溢れている。
「お待たせいたしました。シャン・ボール・エヴァンのチョコレートリキュールを使ったバレンタインデー限定カクテルです」
大輔は常連の女性客にカクテルを振る舞う。
女性客A「わっ、ありがとう大輔くん!」
女性客B「あ、すごく飲みやすくておいしい…!」
智子の協力で完成したチョコレートカクテルのレシピ。
常連客からの評判は上々で、大輔は小鳥邸に帰ったら早速智子に報告しなくてはとそっと顔を綻ばせている。
女性客B「大輔くん、どうした?なんか嬉しそう…顔がにやけてるよ」
「失礼いたしました」
何故か謝って大輔は口を引き結ぶ。
その様子を見て、女性客二人は何かの合図のように見つめ合ってうなずいている。
女性客A「ねえ、大輔くん」
「はい」
女性客A「今日バレンタインだからさ、大輔くんにチョコ用意してきたんだ」
「え…」
女性客B「はーい、私もー!」
二人はバッグから包みを取り出す。
ポップな包みは、恐らく義理だろうと思う。
「…」
断るのは自意識過剰だと微かに思っても、大輔はそれを受け取ることが出来ない。
昨日、智子がレシピ本を手に自分の為に作っているチョコレートを見たから。
当日に渡したいと、今日、走って帰ってきた智子を見たから。
女性客A「大輔くん?」
「ごめんなさい、今日、チョコは受け取れなくて」
女性客A「えー、義理でも?」
「はい…義理でも受け取れません」
女性客B「本気チョコでも?」
「はい… えっ?」
女性客A「彼女以外からのチョコは受け取れないってことかー」
女性客B「真面目だなー、ま、そういうとこが好きなんだけどね」
「…えっ」
女性客B「じゃ、これは義理チョコに降格させてオーナーにあげよっと」
本気か冗談か分からない二人の会話についていけず、大輔は真顔で考え込む。
episode2
しかし二人の話題はまた違うものに変わり、大輔は小さく息を吐いた。
「…やっぱ女ってよく分からない」
無性に智子の顔が見たくなって、またひとつため息を零す。
店員「では、こちらへどうぞ」
相変わらず客足は途絶えず、店員がカウンターの隅にカップルらしき男女を案内する。
「いらっしゃいませ」
男の子「こんばんはー」
女の子「あの、今日限定のカクテルがあるって聞いたんですけど」
「チョコレートカクテルですね」
女の子「はい! それを二杯…お願いします」
「かしこまりました」
大輔はカクテルを作りながら、どことなくぎこちない二人に目を遣る。
自分と同じくらいの歳だろうか。
女の子は緊張した面持ちで下を向き、男の子もソワソワと落ち着かない。
「お待たせいたしました」
大輔はコースターの上にカクテルを乗せて二人に差し出す。
すると二人は気まずい空気を変えるように、同時にカクテルに手を伸ばした。
女の子「…おいしい」
男の子「…だな」
しかしまた重い空気が流れ、女の子は空になったグラスに何度も口を付けている。
なにかお作りしましょうか――
大輔がそう訊こうとした瞬間、女の子が顔を上げて男の子に向き直った。
女の子「あの…ね?」
男の子「…ん?」
女の子「バレンタインの今日しかチャンスないと思ってここに誘ったんだ…」
男の子「…うん」
女の子「あの…私…君のことが好き…なんだ」
顔を真っ赤にした女の子がそう告げれば、男の子は柔らかく微笑む。
男の子「俺も」
先日バーで聞いた、去年のバレンタイン話と重なるやり取り。
想いが通じ合い、目に涙を溜める女の子を見て、大輔は温かい気持ちになる。
episode3
そしてグラスを洗い場に下げながら、また智子のことを考えていた。
「バレンタイン…か」
ぼんやりと洗い物をしていると、オーナーがカウンターに顔を出す。
オーナー「大輔、お客さんも引いてきたし、休憩入っていいぞ」
「あ、はい。じゃあ休憩いただきます」
タオルで手を拭き、ロッカールームへ向かった。
椅子に腰かけ、バッグから智子に渡された包みを取り出す。
「あっ…」
箱を開けて目に飛び込んで来た言葉に小さく声が漏れる。
『好きです』 とシンプルに書かれた文字。
その四文字がひどく胸に沁みる。
「智子…」
大輔は携帯電話を取り出し、智子にメールを送った。
『会いたい』 と書いた短いメール。
返事はすぐに届く。
『私も』
それを見た瞬間、大輔はロッカールームを飛び出して、オーナーの元へ向かった。
「オーナー!」
・
・
・
「大輔…」
数十分前、『会いたい』 と届いたメールに、つい 『私も』 なんて本音を返してしまった。
バレンタインの今日、一緒にいられないことがやっぱり少し寂しかった。
(とはいえ、困らせるようなメールしちゃったかな。明日朝早く帰ってくる大輔を待って、謝ろう)
そう考えて、もう寝ようとベッドに潜り込む。
ガチャ!
(ん…?)
静かな小鳥邸に玄関の鍵を開ける音が響く。
そしてすぐに廊下を歩く足音が聞こえる。
「清田さん、ジョギングでも行ってたのかな…」
気になってしまい、そっとベッドを降りて部屋のドアを開けた。
「えっ!」
「智子」
廊下を歩いていたのは大輔だった。
「えっ、なんで?」
大輔は目の前にくると、そっと私の体を抱き寄せた。
episode4
「大輔…?」
「ごめん、会いに来た」
ぎゅっと私を抱きしめた大輔の体は、少し冷たい。
「どうしたの? バイトは?」
「すげー盛況で、早い時間に限定カクテルも売り切れたんだ。客足も途絶えたから、オーナーが今日は帰っていいって言ってくれて」
「…そうなんだ。お疲れ様…」
会いたいと思っていた気持ちが通じて、嬉しくなってぎゅっとその背中に腕を回す。
「今日はどうしても智子と一緒にいたかった。昨日でも明日でもなくて、今日一緒にいる事が…大切なんだよな」
「うん…ありがとう。嬉しい、会いたかった」
「オレも」
大輔は体を離して柔らかく微笑む。その頬が少し赤い。
いつか大輔がそうしてくれたように、そっと頬に触れる。
大輔は驚いたようにピクリと体を動かした後、頬にのった私の手をぎゅっと握る。
「智子…すげーあったかい」
「大輔…外寒かったでしょ?あったかくしないと風邪ひくよ…」
「ん…オレの部屋行こう」
大輔はゆっくり体を離して、私の手を取った。
大輔の部屋に入って、二人でソファに座る。
少し暖かくなった部屋で、大輔はバッグからチョコレートの包みを取り出した。
「あ…それ…」
「智子から貰ったチョコレート。今食べてもいい?」
「ええっ」
(あのメッセージ、目の前で見るのか…)
「ダメ?」
真顔で見つめられて、断りづらい雰囲気になってしまう。
「う、うん…いいよ」
「ありがとう」
大輔は照れる私に構わず、チョコレートの箱を開けて嬉しそうに微笑む。
episode5
『好きです』 のシンプルなメッセージを、贈られた本人が目の前で眺めている。
思っていた以上に恥ずかしい。
「食べるのもったいない」
「…うん、でも遠慮せず食べて」
(恥ずかしいし、早くメッセージ消えて欲しいよ…)
「いただきます」
大輔はペコリと頭を下げて、少しずつチョコレートを口に運ぶ。
「…どう?」
「うん、すげーうまい」
「あ、良かったぁ…」
「今まで食べたチョコレートの中で一番うまい」
「えー、大袈裟だよ。そんなに手の込んだものじゃないしさ…」
真顔で褒めるので、恥ずかしくなってそう告げる。
大輔は少しの間黙って私を見つめていたけれど、すぐに笑顔になった。
「なんでうまいか分かる?」
「うーん…なんで…?」
「智子の気持ちがこもってるから」
「そっか、うん…気持ちこめたからなー」
少し照れくさくて冗談めかして言えば、大輔は真顔で私に向き直る。
「ほんとにすげーうまいから、智子も食べてみる?」
「…じゃあ、ちょっとだけ」
うなずきながら答えると、大輔はチョコレートを少しかじって顔を近づけた。
「えっ!」
驚く間もなく重なった唇はとろけるようなチョコレートの味。
甘くて幸せなキス。
唇が離れても口の中に、チョコレートの香りが残る。
「…甘い」
「…うん。すげー甘い」
大輔はもう一度キスをしてそっと私を抱き寄せた。
「オレも、智子が好き」
耳元でそう告げられ、甘い言葉に胸が切なく疼く。
バレンタインデーに交わしたキスは、とろけるほど甘く、幸せなキスだった。
Normal End
