平成3年5月、いよいよ営業実践訓練 地区エリア開拓がスタートした。

地区エリア開拓は4ヶ月間毎日、約600世帯の限定された地域の一般家庭に対して訪問を行い、生命保険を販売する訓練だ。

通常、営業職員の場合、担当するエリアの既契約者の情報は開示されるが、我々の場合はそもそも訓練であり、修行でもあるから、全くゼロの状態からスタートする。

つまり完全にローラー作戦の飛び込み訪問だ。

販売ステップは簡単に説明すれば下記のとおりである。

【ステップ1】1件1件しらみ潰しに飛び込み訪問を行い、アンケートを回収しながら名前、生年月日(世帯全員)の情報を収集する。

【ステップ2】アンケートを書いてくれた方にお礼訪問。

【ステップ3】継続訪問を繰り返し、人間関係を築いて行く。その中で他社への生命保険の加入情報を収集する。

【ステップ3】手作りのライフサイクル表で必要保障額を訴求する。

【ステップ4】ご提案

【ステップ5】お断りの場合、ステップ3からやり直す。

これだけ見れば簡単な様な感じを受けるが、そんなスムーズに話が進み、契約に至る訳がない。

ほとんどがステップ1で撃沈され、精神的なタフさが要求される。


私は緊張でガチガチになりながら、1件目の玄関のチャイムを鳴らした。

続く