平成3年4月1日、日生劇場において平成3年度入社式が行われた。
詳細はほとんど記憶にないが、会場はとても暗く、どんよりとした重たい空気が会場の中をつつんでいた。
同期の連中も昨日の疲れからか、何の覇気も感じられなかった。
式も終盤となり、社歌を歌う時が来た。
昨日の研修で「死ぬ気で歌え❗」と言われていた私達は学生の応援団を思わせる様な大声で社歌を歌い始めた。
しかし、歌っていたのは私達営業管理職候補生の人間だけだった。
昨日の夜、中庭でゆっくりとくつろいでいた総合職の連中は全く歌っていない。
明らかに社歌を初めて聞いた様子だ。
それどころか、「何だ?こいつら?バカか?」というような目でこちらを眺め、せせら笑いを浮かべている者さえいた。
気性の激しい私は、飛びかかってド突きまわしたい気持ちを抑えつけ、総合職の連中を睨み付けながら、社歌を歌い続けた。
続く