きめこみパッチワークって
ご存じですか?
シールが貼り付けられた土台に
布ばさみで裁断したパーツを
決められた場所に貼り付け
目打ちで土台の窪みをなぞると
布の端が隙間に収まり
図柄が出来上がっていきます。
右片麻痺の母が(要介護1のころでしょうか)デイサービスに通っていた10数年前。デイのレクリエーションできめこみパッチワークを作っていて
おめでたい絵柄や
季節を感じる作品や
お花や懐かしい景色
片麻痺の母が楽しんでやってるからと、実家にはその作品はいつしか50を越えるほどまでに。
大量のその作品もほとんどは飾られることもなく箱に入ったままで2階に積み重ねて置いてありました。
父が入所した施設では自宅で過ごしているように家具や食器や趣味のものを持ち込めたので、自宅のリビングに飾ってあった2作品のきめこみパッチークを父の施設の部屋へと。
「わぁ、素敵ですね」
「部屋が華やぎますね」
作品を渡すとき、職員さんと会話を重ねながら自宅に沢山あって今後どうしたらと思案してます。そんな会話をしていたこともあり
退去する際
「もしも処分するものが出るようでしたら頂ける事は可能でしょうか」
との申し出がありました。
開設して6年目の施設
様々な環境作りに母が手を掛けたきめこみの作品を飾ってくださるという有難いお話で
大きいものから小さなものまで
段ボール2箱分約40作品ほどを
受け取っていただけました。
父が過ごした最後の場所に母が片麻痺で一生懸命作った作品が飾られる…。
箱に入って眠らせていたひとつひとつの作品が自分の居場所を与えられ輝いていくと思うととても嬉しくなりました。
そして車イスが2台並べる大きさの
ダイニングテーブルも
使っていただけることになり
誰かが作品を眺めたり
誰かが食事をしたり作業したり
そんな時間が生まれて行く事を
想像するだけで幸せな気持ちに✨
今年に入り
施設相談員さんから電話があり
「施設内に全て飾らせて頂きました。入居者様も職員も足を止めて会話したり温かい時間が生まれています。本当にありがとうございます。一言お礼を伝えたくてお電話しました。」
ユニット毎に作品を移動したりしながら末永く楽しんでくださるそう。
その後の様子を聞かせて頂けて
私自身がより心が整います
本当にありがとうございます🙏
父が旅立って間もない時期に
「作品を頂きたい」という事を遺族に伝えるのは葛藤があったそうです。
お互いにお互いを想い合い
大切に受け止めあって
創りだした交流は
父の旅立ちに向けての
様々な心に残る葛藤を
ほぐしていってもくれます。
あの時あんなことが出来たかも
この時こんな対応が出来たら…
様々な置かれた場所の価値観や
対応に苦しんだこと
父も私も命との向き合いに
消化できない抱える想いは
いくつもあります。
施設相談員さんが
葛藤を抱えながらも一歩踏み出して希望を伝えてくれたことが、私たちに潤いを与えてくれました。
2階に山積みされていた作品達は
ひとつひとつ箱に収められていて、どんな作品が入っているか箱を開けなくても分かるように表に絵の写真が貼られていたり、全体にビニールをかけて箱にも埃が被らないようにしていた父の行動に触れたりと…。
以前から視界には入っていた
その当たり前のセピア色の景色は
今回の出来事で
優しさや愛で彩られた景色に
変わっていきました。
実家の整理は大変と思うことも
もちろんあるけど
私自身の心に
希望と未来と温もりを
与えてくれています。
1人では抱えきれない重荷は
知っていてくれる人がいると思うだけで
心が柔らかくなったり安心したりします。
自分に向き合う姿を
現実と向き合う姿を
温かく見守り聴いてくれる
人を信じられる
自分を信じられる
初めて訪れた時感じた安心感は
今も続いています。
こんな場所があった
それを知るだけで
希望を感じられる方に届きますように
この場所への出逢いが必要な方へ
大切に繋がっていきますように







