ある日実家に行くと
父は
ミシンを出していた
ボビンには
キチンと糸が巻かれていて
「上糸を通してくれ」と
ミシン出来るのかなと思いつつ
「凄いね〜ボビンに糸巻けたんだね!」
そう声をかけると
「デイサービスに持っていった」
んだそうで。。。(・.・;)
お迎えの時間のない中で
困った依頼をされ
職員さん悩んだ挙げ句に
デイサービスに持っていく選択を
してくださったようで
申し訳ない。。
父は89歳
今でも向上心は健在です
手を差し出してくださる
周りの方の優しさに
いつも感謝でいっぱいになります
だからこそ私も
デイサービスのお仕事の中で
利用者様と向き合う時間を
大切にしたいと改めて思います
二年前、
認知症状が顕著になった時
そして
一年後の今
床に座って
ミシンを使う今の父の姿を
想像なんて出来なかった。。
ちょうど
手縫いで作ろうかなぁと思っていた
布マスク
父に刺激を受けて
私も久しぶりにミシンを出してみた
子どもたちが小さい頃に
何度か使って以来です
ガタンガタンガタン
ゆっくり縫い始めて
少しずつ慣れて
ガタガタガタガタガタ
心地よい音と心地よい振動
音に意識が向いていく
縫っているうちに
小学校にあった足踏みミシンが
浮かんできた
足をパタンパタンと
動かしながら縫う
あの感覚が
大好きだったなぁ(*´∀`)
ガタガタガタガタガタガタ
今度は母との
幼い頃の記憶に繋がっていく
母は工業用ミシンで
枕カバーを縫う内職をしていた
幼い頃の記憶に残る母の姿は
ガーガーガーガーと
勢いよく音を立てるミシンと向き合う
後ろ姿
長方形の白い布の両端に
フリルを縫い付けていく
枕サイズの布と布は
フリルで繋がっていき
ミシンの向こう側に山積みになっていく
フリルを布切りハサミで
一枚ずつにして
今度は輪っかになるように
端と端を縫い合わせる
輪っかになって糸で繋がって
再びミシンの向こう側に
山積みになっていく
いつ頃からかな。。。
ここからお手伝い
糸切りハサミで
枕カバーが繋がっている糸を切って
ひっくり返して表にして
10枚ごとに半分にたたんで
100枚を
引き裂いたハギレ布で一縛りにして
業者に納品する
私が幼い頃から
確か中学生になるまで
母はずっと続けていたっけ
内職だけでなく
パートにも出ていた
正月もお盆も日曜も仕事でいなくて
休みの日や夜は
内職のミシンの音が母の存在だった
ガタガタガタガタ
久しぶりのミシンをかけながら
なんだろう
胸の中に
じわんじわんと
温もりが生まれてくる
何十年も過ぎていたのに
ガタガタガタガタ
あの頃の母の後ろ姿が
ミシンのおとの中に
蘇ってくる
身体はちゃんと覚えていた
幼い記憶の中に
人の傍にいる
ぬくもりと安心