あの時
ひとり苦しみの中で佇んでいた私の横に
誰かが隣に立っていた
兄がもう亡くなるんだと
頭で理解していても
その置かれた状況を
受け止めきれず
ただただ
自分の無力さと精一杯の愛の中で
時間すらも
止まっているかのように
感じていたのかもしれない
兄を眺めて立ちすくんでいた
ふと
気がつくと
隣にいたのは看護婦さん
その人は
呆然としながら兄を見つめる私と
同じ視線を向けていた
初めは分からなかった
ずっとそのままでいてくれた
どうすることも出来ない感情の中にいた
ふと今に戻れたのは
あぁ
この人
私に
寄り添ってくれているんだ
そう気づけたとき
あれからもう2年以上が経ちました
言葉でもなく
肩を抱き寄せられたわけでもなく
ただただ
ひとつになってくれたあの看護婦さんは
今も私を護ってくれている
再び出会うことが無くても
離れていても
あの時
私はひとりでは無かったんだと
今
ようやく知ることが出来ました
人は皆
誰かに支えられている
すべては繋がっている
私にとって
この場所は
ただ黙って一緒にいてくれる
あの時の看護婦さん