またひとつ、兄の話をさせて下さい。
2年と少し前の夏のことです。
兄が近頃少し背中がしびれると言ったそうです。
近所の整形外科で診てもらいましたが、
特に悪いところはなくて、
姿勢と背筋を鍛えるようにと指導があっただけでした。
ただ、その医師は、
万一、町医者で見つけられない原因があったときのために、と、
総合病院への紹介状を兄に持たせてくれたのです。
その頃、希望職種への転職を目前に控えていた兄は、
入社前にと、念のため総合病院へ行きました。
総合病院でのCT検査の結果、
整形外科では、やはり何も問題はありませんでした。
けれど、
思いもよらないことに、全く関係のない箇所に別の問題が発見されたのです。
右肺に小さな腫瘍があると言われました。
何度かの検査の結果、ほぼ悪性との結論になり、
翌年2月、兄は右肺中葉の全摘手術を受けました。
通常数日で出る病理検査の結果は、1週間以上もかかり、
医師からの最終説明も、とても曖昧なものでした。
主治医は内科外科の合同カンファレンスで出された、
デスモイド、という聞き慣れない病名を、
兄への説明で、再度訂正し、
線維腫という、もうひとつ大きなカテゴリーでの説明にとどめました。
胸部デスモイド自体が、100万人に2人という非常に珍しいもので、
その中でも、肺原発のデスモイドというのは聞いたことがなく、
当然診たことも前例もないために、断定できないという事情のようでした。
デスモイドは悪性ではないものの、良性とも言い切れない浸潤性の強い腫瘍で、
兄の場合は、心臓のすぐ横に位置していたこともあり、
この大きさ、この段階で発見されたことは、
本当に奇跡のような幸運だと言われました。
何の問題もなかった背中のしびれが、
あのとき兄を検査へと導いてくれたことになります。
人の力の及ばない領域で、
何か大きな力が、兄を助けたとしか思えませんでした。
きっと兄の人生の計画上、
まだこの先も、
生きて果たすべき使命があるということなのでしょう。
おととい、兄は年に1度の検査を受けてきました。
再発の気配はなかったとのことでした。
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