「壊れた詩人」 NO1
壊れた詩人は、幻想の中を彷徨う。どうやら手にしていた羅針盤が壊れて乗っていた船の航路が行き先を誤り
座礁して見知らぬ海岸に辿りついた様だ。船から降り辺りを見回す。しかし、人の気配はない。思い切り叫んでみるが、辺りはシーンとしている。フラフラと歩き回り途方に暮れる。その時、人影を見つける 慌てて近づく詩人は驚く、何故なら「自分」がいるのだ 話しかけてみた。「お前は誰だ?」と言うと「お前は誰だ?」ともう一人の自分が答える「私が私だ」と詩人は叫ぶ もう一人の自分も「私が私だ」と叫ぶ、暫く会話をした。どうやら自分は幻想の中を漂った挙句の果て心の世界に辿りついたらしい。そのまま詩人は、もう一人の自分に何も言わず立ち去り海岸を歩き始めた。すると、もう一人の自分が追いかけて来て腕を掴んで殴りつけてきた。詩人も負けじと戦いが続き打ちのめされ意識を失う。詩人が意識を取り戻し目を開けるとそこは、ベッドの上だった。詩人は「人の心には、もう一人の自分が存在して、私の心に潜んでいてそれが善か悪かは別として」、、、と詩人は想った。どうやら詩人は長い眠りについていた事を、人から聞かされる。そして「今」詩人は「現実」に戻ったのだ。あのもう一人の自分が何を伝えたかったのかは「今」は理解出来ないが、例えて言うとすれば〝ジキルとハイド〟の様でもある。心の中の善と悪が常に戦っている。朦朧とした意識の中で、ぼんやりと詩人は考えた。しかし詩人は、もう一人の自分の存在を受容し受け入れて、対話をもう一度したいと想ったが「今」となっては分からない。ただ分かるとすれば「自分の中には自分がいるだけだ」壊れた詩人は窓の外を見る。空は青く小鳥が囀り、そこには
「何気ない日常」があった。壊れた詩人は、空を見上げいつまでも「今」いる自分の存在と「心」にいる自分の存在を考えるのを止めた。そして「今」を生きようと想った自分らしく MOMO