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九州、いや日本を代表する心霊スポット、犬鳴峠へと急ぐ。
ケータイから得られるおぼろげな情報だけを頼りに、北九州と博多を縫う山並みの道路を走る。
だが、そこはなんと言っても最強オカルト地帯。
発見までにはかなりの困難を要することは想像に難くない。

と思っていたら、超あっさり見つけてしまう。
交通量の多い幹線道路のすぐそば。
ていうか普通に道沿いから入り口(封鎖されてる方だけど)が見えるし
カーナビにも道が表示されるくらいの簡単度。
めちゃめちゃ分かりやすい。
まあ、元々は国道だったんだから、アクセスしやすくて見つけやすいのは当たり前か。

何はともあれ、踏破したという証拠の写真を撮影。
まあ、いくら超見つけやすかったとはいえ、雰囲気はやはり不気味。
さんざん写真や映像で見ていたビジュアルではあるが
入り口前の積まれたブロックには独特の恐怖と畏怖を覚える。
どうしよう。
一体、どうすればいいのか。
このような個性的なロケーションを背景にして、どうすれば、僕というモデルが映えるというのか。
最近の流行である自分撮りを駆使し、研究を重ねる。

こうきての

こう、だろうか。
そうこうしているうちに、背後から不審なエンジン音。
僕が通ってきた道を、一台の白い軽自動車がこちらにやってくるではないか。
あばばばと焦る僕の、すぐ横に停車する軽。
勢いよくドアが開いたかと思うと、わっと幾つもの人影が飛び出してきた。
「ここ、すごいっすね!」
いっても高校3年だろうか。
もしかしたら中学生かもしれない程の、幼い風貌。
しかし明らかに「自分ら、ヤンチャしてますから!」といった風体の少年たち。
彼らが僕をとり囲んできた。
「コンビニで聞いてきたんですけど、このトンネル、中に入れるらしいっすよ!」
こちらに敵意は無いようだが、初対面なのにノータイムでテンション高く絡んでくるのが怖い。
いや、これはもしかしたら、ヤンキーどうのこうのではないのかも。
この子たちも見た目ほど悪くはないのでは。
馴れ馴れしいのだってただ博多っ子ならではの人懐っこさかもしれない。
ははは、と微笑みを投げかけた僕の顔が
運転席の少年が缶チューハイを手にしているのを見て、凍りつく。
げえ!
飲酒運転……!
博多っ子純情とか関係ねえっ……!
こいつらは札付きの不良!!
根っからのワルだよ!!
だがそうは言っても、まだ十代中盤の子供たちが4人だけ。
たとえバトル必須というヤバめの状況になったとしても
この避難旅行で体格改造に成功した(沢山ごちそうしてもらってぷくぷく太った)僕なら
不意打ち&破れかぶれな狂人のフリを仕掛ければ
充分に逃げるチャンス(あくまで逃げるチャンス)を作ることが出来るだろう。
そう高をくくっていた僕の後ろで、バタム、という音がする。
見ると、軽自動車のトランクが開いて
その中から小柄の少年が2人、ごろごろと地面に転がり落ちてきた。
ひぃ
定員オーバー……っ!
もうこいつら、ワルとかの範疇を超えている。
エイリアン……!
あの、魂斗羅スピリッツで、放っておいたら無限にエイリアンが飛び出してくる花みたいなやつ?
あの要領ですよ……!
完全に命の危険アラームが鳴り出した僕は
「一緒に中、探検しましょうよ!」
と(何らかの目的で)誘ってくる少年たちの輪から急いで飛び出し
「人魚のミイラ! 博多で、これから人魚のミイラ見るんで、失礼します!」
と車に飛び乗った。
が、そこはまがりなりにも怪談サークルの会長。
もしもの時のために、奴らの写真をパチリと盗撮することは忘れなかった。

これ撮ってんだから、勝ち負けで言ったら俺の負けじゃねえぞ!
元データにはナンバープレートもしっかり写ってるからな!
バーカ、バーカ! 大人をナメんな!
※車に飛び乗る瞬間、「あそこの寺の人魚のミイラ、見ても別につまんないっすよー!」というアドバイスも聞こえてきたので、実はオカルト好きの気のいい奴の可能性もある。
※でも飲酒運転はダメだよ! と、直接には言えなかったので、この場を借りてしかっておきます。
ケータイから得られるおぼろげな情報だけを頼りに、北九州と博多を縫う山並みの道路を走る。
だが、そこはなんと言っても最強オカルト地帯。
発見までにはかなりの困難を要することは想像に難くない。

と思っていたら、超あっさり見つけてしまう。
交通量の多い幹線道路のすぐそば。
ていうか普通に道沿いから入り口(封鎖されてる方だけど)が見えるし
カーナビにも道が表示されるくらいの簡単度。
めちゃめちゃ分かりやすい。
まあ、元々は国道だったんだから、アクセスしやすくて見つけやすいのは当たり前か。

何はともあれ、踏破したという証拠の写真を撮影。
まあ、いくら超見つけやすかったとはいえ、雰囲気はやはり不気味。
さんざん写真や映像で見ていたビジュアルではあるが
入り口前の積まれたブロックには独特の恐怖と畏怖を覚える。
どうしよう。
一体、どうすればいいのか。
このような個性的なロケーションを背景にして、どうすれば、僕というモデルが映えるというのか。
最近の流行である自分撮りを駆使し、研究を重ねる。

こうきての

こう、だろうか。
そうこうしているうちに、背後から不審なエンジン音。
僕が通ってきた道を、一台の白い軽自動車がこちらにやってくるではないか。
あばばばと焦る僕の、すぐ横に停車する軽。
勢いよくドアが開いたかと思うと、わっと幾つもの人影が飛び出してきた。
「ここ、すごいっすね!」
いっても高校3年だろうか。
もしかしたら中学生かもしれない程の、幼い風貌。
しかし明らかに「自分ら、ヤンチャしてますから!」といった風体の少年たち。
彼らが僕をとり囲んできた。
「コンビニで聞いてきたんですけど、このトンネル、中に入れるらしいっすよ!」
こちらに敵意は無いようだが、初対面なのにノータイムでテンション高く絡んでくるのが怖い。
いや、これはもしかしたら、ヤンキーどうのこうのではないのかも。
この子たちも見た目ほど悪くはないのでは。
馴れ馴れしいのだってただ博多っ子ならではの人懐っこさかもしれない。
ははは、と微笑みを投げかけた僕の顔が
運転席の少年が缶チューハイを手にしているのを見て、凍りつく。
げえ!
飲酒運転……!
博多っ子純情とか関係ねえっ……!
こいつらは札付きの不良!!
根っからのワルだよ!!
だがそうは言っても、まだ十代中盤の子供たちが4人だけ。
たとえバトル必須というヤバめの状況になったとしても
この避難旅行で体格改造に成功した(沢山ごちそうしてもらってぷくぷく太った)僕なら
不意打ち&破れかぶれな狂人のフリを仕掛ければ
充分に逃げるチャンス(あくまで逃げるチャンス)を作ることが出来るだろう。
そう高をくくっていた僕の後ろで、バタム、という音がする。
見ると、軽自動車のトランクが開いて
その中から小柄の少年が2人、ごろごろと地面に転がり落ちてきた。
ひぃ
定員オーバー……っ!
もうこいつら、ワルとかの範疇を超えている。
エイリアン……!
あの、魂斗羅スピリッツで、放っておいたら無限にエイリアンが飛び出してくる花みたいなやつ?
あの要領ですよ……!
完全に命の危険アラームが鳴り出した僕は
「一緒に中、探検しましょうよ!」
と(何らかの目的で)誘ってくる少年たちの輪から急いで飛び出し
「人魚のミイラ! 博多で、これから人魚のミイラ見るんで、失礼します!」
と車に飛び乗った。
が、そこはまがりなりにも怪談サークルの会長。
もしもの時のために、奴らの写真をパチリと盗撮することは忘れなかった。

これ撮ってんだから、勝ち負けで言ったら俺の負けじゃねえぞ!
元データにはナンバープレートもしっかり写ってるからな!
バーカ、バーカ! 大人をナメんな!
※車に飛び乗る瞬間、「あそこの寺の人魚のミイラ、見ても別につまんないっすよー!」というアドバイスも聞こえてきたので、実はオカルト好きの気のいい奴の可能性もある。
※でも飲酒運転はダメだよ! と、直接には言えなかったので、この場を借りてしかっておきます。