3/18 | 怪談サークル とうもろこしの会

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放射能が怖かったので、西へ西へと旅をしていた。

とりあえず神戸へ。
阪神大震災の記憶があるからか、僕が被災者という扱いを受け、皆、優しい。
色々とタダでごちそうしてもらったので、東京にいる頃よりぷくぷく太る始末。
本当の被災者の方々に申し訳なく思う。

ただ、そんなに良くしてもらった神戸すら見切りをつけ、さらに西へと逃げる僕。
九州へのルートを調べるうち、阪九フェリーの2等(雑魚寝)が最安と突き止める。
これが大正解。
時間は12時間近くかかるが、地獄の高速バス4列シートなどと比べて快適度が全く違う。
なにより広い船内を好きに動き回れるのがいい。
雑魚寝が窮屈なら、ロビーのソファに座って酒を飲みながらテレビを見ていればいいのだ。
これでバスより安いのだから、これ以外のルートを選んでしまう理由が分からない。

といった訳で九州着。
新門司港に降り立つ。
東京はもちろん、神戸よりもさらに地震・放射能に対するピリピリ感は薄いように感じる。
こちらとしては、気は楽になってありがたい。
港の埠頭にて、さて、これからどうしようかと途方に暮れる。
ただ逃げてきただけなので、何をするという予定もないのだ。
そういえば。
僕みたいなのが絶対に行かなきゃ行けないのに、まだ行ってない場所があった。
さっそく港のバスに飛び乗り、小倉駅へ。
駅にてレンタカーを借りる。
そして車を一路、犬鳴峠へと走らせた。