3/3 | 怪談サークル とうもろこしの会

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もう何度書いたか分からないが、住む場所が見つからない。

周囲から
「今までヘンラヘラヘラと生きてきたツケが回ってきたんだよ」と諭され
アリとキリギリスの出てくる話などを聞かされるうち
そこは物分りがよく真っ正直で
「ゆうきちゃんは根っこが良すぎるから、世間の皆に騙されないか心配じゃよ」
と、お祖母ちゃんに言われ続けた僕のこと
確かに、自分にも非があったのかもしれないという気持ちにもなってきた。
この大不況にあえぐ現在の日本社会で生きていくからには
自分から一生懸命に頭と体を動かさなければ
住居すら確保できない時代になっているのだ。

高校に上がるまでお祖母ちゃんと一緒に寝てた、生粋のお祖母ちゃん子な僕だって
いいかげん自分の甘えんぼさん体質を見直さなくてはならない!
「黙って待ってれば誰かが家を見つけてきてくれて、お金も出してくれる」
そう布団の中で思っていても、物件が決まらないということにそろそろ気付かなくては!
いつか変わろう、じゃない!
今日、変わるんだよ!

ただ、そうは言っても
この寒い日に、わざわざ不動産屋まで出向いて、初対面の人に自分の要求を伝える
というのはさすがにハードルが高すぎるので
「まあ、引っ越せはするでしょ、多分」という前提で
イケアに新しい家具を見に行くのを、今日の日課とした。

感想としては
なにしろデカかった。
イケアの建物自体もそうだが
置いてある家具もいちいちやけにデカい。
こんな欧米サイズの調度品が
これから僕が住むような「築30年以下ならラッキー」な物件に収まりきるとは到底思えない。
(※そもそも、そんな物件さえ見つかってない)
「北欧とか言ってるけど、野蛮な泥棒海賊の末裔どもがいい気になってんじゃねえぞ!」
結局、そんなセリフを心の中で吐きながら、さっと一周歩いただけで、すごすご立ち去る羽目になる。
それでもせっかく来たんだから、という貧乏根性から
100円の食器を一つだけ買い
60円の特製ビニールバッグの中に入れて持って帰った。
ビニールバッグはやけにどデカかったので、遠目にもかなりアンバランスな感じだったが。

その後、ニトリとシマチューに寄ってみて
「まあやっぱ、ここだな」と思った。