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たった21円で弁当の白飯を超大盛りにすることで有名なコンビニ
ポプラ
大盛りを頼んだが最後
最低、白飯が弁当からはみ出すくらいにはよそられてしまう。
「蓋が閉まる弁当なんて大盛りとは呼べない」
「蓋はごはんの上にそっとそえるだけ」
「蓋は落ちないため、ラップでグルグル巻きにしなければいけないもの」
これらが、ポプラーたちの弁当の蓋に対しての見解である。
また、このポプラ盛りの奥の深さを物語るのが、二郎でいうところの「ブレ」である。
大盛り加減に、ブレがあるのだ。
店舗によるのかもしれないが、少なくとも僕については
大盛りの時にきちんとグラム数をはかっているのを見たことがない。
いきおい、バイト一人一人の食感覚・サービス精神・その時の気分によって
盛り加減が大きく左右されてしまうのである。
僕のよく利用するポプラでは
おかわりくんに似た店員がいて
弁当を買った時に、彼がおさんどんのタイミングだったら「当たり」とされていた。
とにかく彼は、知らない火と唖然とさせる程、よく盛ってくるのである。
それはまるで白米によってアイガー北壁を再現しようと試みているようで
彼の盛りを甘くみた挑戦者は、ことごとく下山を余儀なくされるだろう。
しかしまさに今日という日。
関東を大震災のごとく揺るがす、怪物ルーキーが登場した。
彼の見た目については、一見なにがどうということもない。
太い黒ぶちメガネをかけて中肉中背
よくいる大人しそうな20代前半の男子である。
名札には確か、「コウ」と書かれていたような気がする。
韓国人学生のための日本語教室が近くにあるから
その生徒がバイトしているのかもしれない。
大盛りを注文した僕の弁当に、いそいそと米をつめる彼を見た
その最初の印象として
「若いのに、けっこう盛る奴だな」
普通に、そうは感じはした。
しかし、レジ裏にある大型のお釜ジャー
それがちょうど空になるタイミングだったのを僕は見逃さなかった
「ああ、もうちょっとでジャーの交換だから、
ちょい多目にいれて空にしちゃおうとしてるのか」
大盛り精神というより、ちゃっちゃと洗い物したいだけなのだろう
苦笑しながら、そう僕は邪推した。
案の定、中身が空になったジャーを流しに持っていったコウくんは
ぽっかり空いたジャーの中に、白米が一杯に詰まった釜を新しく据えつけた。
僕の弁当も、いい感じで大盛りの域を越えたくらいの大盛りに到達している。
あとは蓋をおいて、ラッピングするだけだ。
レジの前まで足を踏み出そうとした僕は
ふと、コウくんの様子がおかしいことに気付いた。
やおら、しゃもじを逆手に構えたかと思うと
既に限界を超えたはずの大盛り飯の上に添えて
全体重をかけてギシギシと固めはじめたではないか!
唖然とする僕を尻目にコウくんは
見た目の体積が3分の2ほどに圧縮されたところで手を止め
交換した釜からさらに、普通の弁当の大盛りクラスの米を盛ってきやがった。
「もう止めて!」
本当はそう叫びながら必死で止めたかったのだが
そこはポプラーとしての僕の矜持が、それを許さなかった。
今まで数多くのポプラ盛り師を見てきた僕だが
ここまで衝撃を受けたバイト店員は、かつていない。
頭おかしいよ、あいつ。

僕のポプラ史上一番の盛り。
見た目の体積もさることながら
超新星並の高密度であることも考慮していただきたい。
「お米がたってる」のは聞いたことあるが
これは「お米が噛み合ってる」である。固い。

縦横の面積、いわゆるX軸Y軸も大きいのだが
箸でつきくずしてみると、高さのZ軸もかなりのものだと分かる。
お米に三次元の立体としての脅威を感じたのは、これが始めてだ。
ちなみに僕の頼んだのは、塩肉炒め弁当(うろ覚え)である。
なぜかトッピングが豊富で、塩肉とは別に
ポン酢(のような、なんかしょっぱい液)と
タルタルソース(のような、なんかラードっぽい油)と
永谷園の鮭ふりかけが付いていた。
これがなくては完食どころか、折り返し地点に行くのももままならないだろう。
それらの助けを借りて、なんとか米の超新星をつき崩して行った僕だったが

肉の下から焼きそばが出てきた時点で、心が折れた。
炭水化物中毒で死ぬ、と判断して
ポプラーとして非常に不本意かつ屈辱ながら
途中リタイヤさせていただいた。
お百姓さんとポプラの店員さんたち、ごめんなさい。
でも、僕は悪くないです。
大盛り感覚のぶっ壊れたコウくんが悪い。
ポプラ
大盛りを頼んだが最後
最低、白飯が弁当からはみ出すくらいにはよそられてしまう。
「蓋が閉まる弁当なんて大盛りとは呼べない」
「蓋はごはんの上にそっとそえるだけ」
「蓋は落ちないため、ラップでグルグル巻きにしなければいけないもの」
これらが、ポプラーたちの弁当の蓋に対しての見解である。
また、このポプラ盛りの奥の深さを物語るのが、二郎でいうところの「ブレ」である。
大盛り加減に、ブレがあるのだ。
店舗によるのかもしれないが、少なくとも僕については
大盛りの時にきちんとグラム数をはかっているのを見たことがない。
いきおい、バイト一人一人の食感覚・サービス精神・その時の気分によって
盛り加減が大きく左右されてしまうのである。
僕のよく利用するポプラでは
おかわりくんに似た店員がいて
弁当を買った時に、彼がおさんどんのタイミングだったら「当たり」とされていた。
とにかく彼は、知らない火と唖然とさせる程、よく盛ってくるのである。
それはまるで白米によってアイガー北壁を再現しようと試みているようで
彼の盛りを甘くみた挑戦者は、ことごとく下山を余儀なくされるだろう。
しかしまさに今日という日。
関東を大震災のごとく揺るがす、怪物ルーキーが登場した。
彼の見た目については、一見なにがどうということもない。
太い黒ぶちメガネをかけて中肉中背
よくいる大人しそうな20代前半の男子である。
名札には確か、「コウ」と書かれていたような気がする。
韓国人学生のための日本語教室が近くにあるから
その生徒がバイトしているのかもしれない。
大盛りを注文した僕の弁当に、いそいそと米をつめる彼を見た
その最初の印象として
「若いのに、けっこう盛る奴だな」
普通に、そうは感じはした。
しかし、レジ裏にある大型のお釜ジャー
それがちょうど空になるタイミングだったのを僕は見逃さなかった
「ああ、もうちょっとでジャーの交換だから、
ちょい多目にいれて空にしちゃおうとしてるのか」
大盛り精神というより、ちゃっちゃと洗い物したいだけなのだろう
苦笑しながら、そう僕は邪推した。
案の定、中身が空になったジャーを流しに持っていったコウくんは
ぽっかり空いたジャーの中に、白米が一杯に詰まった釜を新しく据えつけた。
僕の弁当も、いい感じで大盛りの域を越えたくらいの大盛りに到達している。
あとは蓋をおいて、ラッピングするだけだ。
レジの前まで足を踏み出そうとした僕は
ふと、コウくんの様子がおかしいことに気付いた。
やおら、しゃもじを逆手に構えたかと思うと
既に限界を超えたはずの大盛り飯の上に添えて
全体重をかけてギシギシと固めはじめたではないか!
唖然とする僕を尻目にコウくんは
見た目の体積が3分の2ほどに圧縮されたところで手を止め
交換した釜からさらに、普通の弁当の大盛りクラスの米を盛ってきやがった。
「もう止めて!」
本当はそう叫びながら必死で止めたかったのだが
そこはポプラーとしての僕の矜持が、それを許さなかった。
今まで数多くのポプラ盛り師を見てきた僕だが
ここまで衝撃を受けたバイト店員は、かつていない。
頭おかしいよ、あいつ。

僕のポプラ史上一番の盛り。
見た目の体積もさることながら
超新星並の高密度であることも考慮していただきたい。
「お米がたってる」のは聞いたことあるが
これは「お米が噛み合ってる」である。固い。

縦横の面積、いわゆるX軸Y軸も大きいのだが
箸でつきくずしてみると、高さのZ軸もかなりのものだと分かる。
お米に三次元の立体としての脅威を感じたのは、これが始めてだ。
ちなみに僕の頼んだのは、塩肉炒め弁当(うろ覚え)である。
なぜかトッピングが豊富で、塩肉とは別に
ポン酢(のような、なんかしょっぱい液)と
タルタルソース(のような、なんかラードっぽい油)と
永谷園の鮭ふりかけが付いていた。
これがなくては完食どころか、折り返し地点に行くのももままならないだろう。
それらの助けを借りて、なんとか米の超新星をつき崩して行った僕だったが

肉の下から焼きそばが出てきた時点で、心が折れた。
炭水化物中毒で死ぬ、と判断して
ポプラーとして非常に不本意かつ屈辱ながら
途中リタイヤさせていただいた。
お百姓さんとポプラの店員さんたち、ごめんなさい。
でも、僕は悪くないです。
大盛り感覚のぶっ壊れたコウくんが悪い。