8/3 | 怪談サークル とうもろこしの会

8/3

チュー太との共同生活が続く毎日。
だが、さすがに最近の横暴ぶりには目が余るようになってきた。
昨晩などは、俺が風呂に入っていると
開きっぱなしの浴室のドアの横を
ゆったり悠然と通り過ぎていったほどだ。
普通、チュー太のような小動物が歩く場合、
チョロロロロロッといった軽くて高い音程を想像するだろうが
もっと威厳と余裕のある重低音の
ボン、ボン、ボン、ボンみたいな印象のウォーキング。
足音のSEをつけるとしたら、ウッドベースがちょうどいい感じだった。

それだけならまだいい。

しかし先日
チュー太の通り道とおぼしきところに
黒くて小さいコロっとした、
小さくなった干しブドウのようなものを数個、発見してしまったのだ。

これはさすがにもう
今まで現実から必死に目をそらして
あれは可愛いペットなんだ
僕が餌をあげて、僕の家で飼っているんだ
そう思い込んでいた脳のフィルターが
パリンっと音をたてて砕けてしまった。


こうなったらもう、アレを使うしかないかもしれない……


世間にあるソッチ系の商品を見ると、たいてい
虐殺というハードな事実から人々の目をそらすかのような
ちょっとポップなパッケージになっているのだが

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アレだけは違う。
小バエやゴキブリという虫類ではなく
我々と同じ哺乳類に向けての殺意だからなのか
人に使用するのも躊躇させるような
オブラードに包むどころか
「お前は今からジェノサイドを行おうとしてるんだぞ!」
と消費者に思い知らせるためにデザインされたであろうパッケージ。
地獄に薬局があれば、こういった品が棚に並んでいるに違いない。

「さらなる死を」という商品名がつけられた
まさに、虐殺のための用具。


デスモア


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