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カラスヤサトシの「カラスヤサトシ」4巻を五反田のブックオフで発見する。
新刊で買う財力が僕には無いので、ブックオフで見つけたら買おうと、かねてから思っていたものだ。
のだが、中をパラパラとめくって、買うのを止めた。
正直、ガッカリしたのだ。
もう、あの、1巻の頃の
「この人はひょこっと死んでしまうかもしらん」という鬼気が無くなっていたので
極貧の僕としては350円で買うのも惜しくなってしまったのだ。
100円コーナーに行ったら、買ってもいいかもしれない。
いや、多分マンガとしては技術も上がって面白くなっているのだとは思う。
思うのだけど
貧乏で仕事も無くて友達も彼女もいなかった頃の彼を知っている読者としては
「すっかり幸せになったってのがコマからびんびんに伝わってくるなあ、おい!」
と理不尽に憤ってしまうのである。
あの、することがないので部屋を歩いていたら
「きたきたきた…」「たえろ!」
“仕事が全くこないころの 私は
こんなふうになんにもないのに
2日に一度は
九死に一生を得ていました”
というカラスヤサトシは戻ってこないのだろうか。
なんだろう。
本当にひどいな、俺。
でも、同じことは福満しげゆきにも言える。
離婚したらまたマンガが面白くなるのかなあ!
とか思ってしまう自分がいて。
本当にひどいな。ファンだとは決して言えないな。
でもなんでしょう。
ダメダメ路線の自分キャラで売ったという経歴がある人間は
たとえ売れて幸せになったとしても
意地でもダメを貫いていって欲しいとは思ってしまうのであるのですよ。
「おーい、先に行かないでくれよお
俺を、おいていかないでくれよお」
そう思ってもしまうのですよ。
ちなみに僕自身に関して言えば、
もし万が一、拾った宝クジが当たって大金持ちになったとしても
それで人が寄ってくるような身分になったとしても
月に一度は金持ちであることが全く評価につながらない集まり
そして自分が全くそれに関してズブの素人であるジャンル
例えば航空機マニアのオフ会とか、古代オセアニア史研究会とか
どれだけ三国志の人物に詳しいかがステータスとなる会合などに顔を出すようにしたい。
そして、なけなしの知識を精一杯に使って
「あ、あの、呂布とかって、強いですよね……」と話しかけるたびに
(あ、なんか話しても得にならない人に話しかけられた)という顔で
「あ、そっすねー」と軽くあしらわれ
三国志オタのチャンピオンに皆がチヤホヤするのを尻目に
全く相手にすらされない自分というものを痛感して
劣等感とルサンチマンを燃やすことだけは絶やさないようにしたい。
そういう自分でありたい。
そんなことを布団の中でずっと夢想してるような人間に
自分のマンガがどうこう文句を言われたくないよな。