湯けむりスナイパー
やばい。今さら「湯けむりスナイパー」にハマった。
オヤジ漫画誌の星である漫画サンデーに連載している、過去に一流スナイパーだった経歴をもつ「源さん」が引退後、身元を隠して温泉宿で中年従業員として働くという、ハードボイルド人間ドラマだ。
元々スナイパーもの好き(「山猫は眠らない」とか)の僕としては、存在も知ってたしパラパラと読んではいたのだが、TVドラマ化ともあってなんとなくマンサンQコミックスの傑作選というのを読んでみたところ、かなりの衝撃を受けてしまったのである。
まず絵。松森正の絵。普通、一枚絵が上手い人は漫画という続き絵が不得意な場合が多いのだが、松森先生の場合は、それを同時にかなりのレベルでこなしている。大友克洋っぽくもあり池上遼一っぽくもあり、といっても褒めすぎではない位だと思う。決め絵で、いきなり自分勝手にデッサン画が挿入されるのも池上遼一っぽくて凄くいい。
そしてストーリー。原作は、ひじかた憂峰。一話ずつちゃんとテーマがある、というか、それを飛び越えて、もう自分勝手なぐらいに男の美学を貫き通す脚本がすごい。たとえば、あっけらかんとフェラチオしようとするフィリピーナは断固拒否するが、地元の名士と結婚する前夜に覚悟を決めてきた仲居が「恥……かかせないで…」ときたらその”覚悟”故に相手をしてやるという……他にもチャラいだけでモテる男へのルサンチマンが全開だったり、クールに荒唐無稽なことをかましたりと、これこれ!これだよハードボイルドってのは!ストーリーラインとしてはどうかと思うけど!な展開が満載なのだ。いや、本当に素晴らしい。
今から近所のブックオフとGEOを漁って、100円で買える全ての湯けむりスナイパーを買い占める所存だ。
と思って調べてみたら、「ひじかた憂峰」って狩舞麻礼の別名なのかよ!どおりで「青の戦士」「ボーダー」「ハードコア」っぽかったよ!そりゃハマるよ!