加賀 | 怪談サークル とうもろこしの会

加賀



久し振りに立ち食いそば屋を開拓した。

初台の「加賀」という店。

NURの永田さんに教えてもらったとこだ。

うまかった。

かき揚げが揚げたてでボリュームあるし

つゆも海くさくて良かった。

僕は、立ち食いそばのつゆは

他の汁物料理なら嫌らしいと思える程

「ダシとってますからね!」って感じの

海くさい魚くさい位が好きなのです。

それが、かき揚げの油のコクと甘味を吸って

丁度いい旨さの塩梅になるのが良いのです。

そば麺のクオリティーよりも

むしろスープの方に重きを置いている。

どっちかっていうとラーメン的な楽しみ方。



あと関係ないけど、僕が店に入ったら

かなり可愛い女性が一人で黙々と立ち食っていた。

おや意外、と思った。

立ち食いって、吉野家よりハードル高そうなのにね。

まあ、そこそこキレイな店なら

平日の昼時にOLさんがいるのもたまに見かけるが

このうららかに晴れた土曜の午後に、

明らかにオフな服装でいるということは

わざわざ一人でここを目指して食べに来たということだ。

そしてまた、彼女、食べ終わった後に

「ごちそうさま」と器を下げ、去り際に一言

「おいしかったです……」

少し恥ずかしそうに付け足していた。

ふーん、と思った。

いつもよりスピードアップで器を食べ終えて、後をつけてみた。

こういう立ち食い系女子なら、デートも安上がりで済むだろう。

巷にワンサカいる女どものように、せっかく僕がおいしい立ち食い店を教えてあげてるのに「でもやっぱり美味しいそばって1000円からじゃないと無理じゃない?」などと抜かしやがるので「そうじゃねえんだよズベ公!立ち食いはまた別のそばジャンルなんだよ!安い油の匂いが口に残るもんなんだよ!そば粉なんか有り難がってんじゃねえぞ雌セレブ豚が!」などと怒鳴りちらす羽目にならなくて済むし、いやそもそも僕が立ち食いそばに一緒に行こうよと誘った時のあの蔑むような目つきが、あれは、もう二度と……

といった事をぶつぶつ呟きながら甲州街道を500mほどつけていったのだが、ヨドバシカメラ付近でズラリ並んでいるポリ公に止められてまったので、その後の彼女の行方は杳として知れない。