スナイパー
「ジャーヘッド」という映画を観る。
戦争ものだった。
あと微妙にスナイパーものだった。
「山猫は眠らない」を観た時にも思ったけど、
スナイパーものは個人の中の暴力性を突き詰めて考えるのに適してる。
戦争映画のスタンダードな描き方である、
皆が狂っていったり世界が狂っていったりする状況も面白いんだけど、
個人がだんだんと孤独に暴力に魅せられていく様子もドキドキしちゃう。
あと、これも「山猫~」と同じだけど
スナイパーが暴力に目覚めてく過程って、いつもいつも
童貞が童貞を捨てていく過程となぞらえられてるんだよね。
山猫ではスナイプ童貞が必死に経験者ぶろうとしてたし
ジャーヘッドでは童貞が寸止めさせられて怒り狂ってたし
完全に初スナイプが初セックスそのものとして描かれてる。
やっぱり、マシンガンをバラバラ撃つんじゃなくて
ためてためてためた末にドクン!って一発で仕留める、ってのが射精っぽいしなあ。
童貞が心の中に性=暴力を育てていく過程を見るのが、スナイパーものの楽しみ方だ!
であると同時に、また面白いのが、
そんな根源的なリビドーから出発してるくせに
スナイパーって熟練していく過程でどんどん機械みたいになってくのよね。
完全に職人的な技術を要するからってのもあるだろうけどさ。
心の問題として、セックスやり過ぎて不感症になってしまうようなものだろうか。
で、童貞→殺人機械ときて、更にスナイパー人生を歩んでいくと
今度は悟りを開いたみたいな、人間をちょっと超えたような存在になっちゃう。
山猫のトム・ベレンジャーも「湯けむりスナイパー」の源さんも、ちょっとそういうとこある。
そして究極的にはゴルゴになるんだろう。
セックスは無表情で騎上位しかさせません、
人の生き死にも歴史にも機械的に関わって、かつ完璧に変えていきます。
といった、まあ、
人間が孤独に内面的に性と暴力を突き詰めていった果てに行き着くとこは
神みたいなキャラクターってことなのかしらん。
スナイパーものは、まだまだ調べていく価値がありそうだぞ。