魔夜峰央 | 怪談サークル とうもろこしの会

魔夜峰央




魔夜峰央(本名、山田峰夫)先生のお顔を久しぶりに見た。




マンガのちから 魔夜峰央先生



ちょっとオデコが広くなった以外は変化もなく、相変わらず超カッコいい。

この人の『パタリロ!』こそ、僕が生れて初めて読み、

生れて初めて全巻揃えたマンガであって、

その後の僕の人格形成に大いに影響を与えている。

そういう意味で、この日記を読んでいる人なら、

パタリロ!がいかに素晴らしい作品なのか、

魔夜峰央(本名、山田峰夫)先生がいかに凄い漫画家なのか、存分にお分かり頂けることだろう。

そんな僕も、ある時期からパタリロを追いかけなくなったので、パタリロ本編以外にも、沢山の番外作品が出ていたことにまず驚きであった。

『家政夫パタリロ!』『パタリロ西遊記!』『パタリロ源氏物語!』、『奥様はパタリロ!』、『ビストロ温泉パタリロ!


西遊記・源氏物語までは知ってたけど……。


『奥様はパタリロ!』『ビストロ温泉パタリロ!』ってスゴイな。


『えび天いか天愛して~ん』と同じくらい
タイトルから内容が想像つかない。



まあ、そんな魔夜峰央(本名、山田峰夫)先生。

タモリに似ているタモリに似ていると言われ続けていたが

こうして改めて見てみると、

ちょっと藤子不二夫A先生にも似ていないだろうか。

サングラスもそうだが、なんというか、

飄々と力の抜けた雰囲気が、どことなくAっぽい。

このインタビューの中でも、どうやって忙しい時に手を抜くかという話になり



絵を簡単にしていくんですよ。たとえば『パタリロ!』だと、構図をバストアップにしちゃうと服の細かい勲章とかを描かないといけなくなるから、顔のアップにするとか。あと、横顔を描くにしてもコマの端にもっていって後頭部をかかないで済むようにするとか(笑)。


そういう細かいところで手間を省いていくと、全体としてはかなり速くなるんです。




と、ものすごく具体的に抵抗なく楽する方法を披露しているのが、A感覚だなあ、と僕なんかは思ってしまう。



また、魔夜峰央(本名、山田峰夫)先生の出身校が

あの“怪談養成学校”と言われる大阪芸術大学だと知ったのも驚きだ。

インタビューでも語られているが、

もともと魔夜峰央(本名、山田峰夫)先生は妖怪マンガ出身であり、

僕が妖怪や怪奇ものに興味を持ち出したのも

水木しげる・楳図かずおよりむしろ、彼の影響によるところが大きい。

(生れて初めて知った漫画家なので当然だけど)

『死と彼女と僕』の川口まどかといい、

ホラー漫画の領域でも大阪芸大出身者が多いとは。

どんな大学だよまったく。



そして、そう!なんと言っても!

僕にとって、このインタビューで最高に衝撃的だった箇所がある。

それは、あの山田峰夫先生が!

カップうどん恐怖症だったといういことなのだ!

これだけ言っても分かり辛いかもしれない。

だが、しかし口はばったいことを敢えて言うが、

パタリロ!の中でも屈指のエピソードであり、

その後の僕の人生に最も影響を与えたのが

パタリロがカップうどんを募集するくだりなのである。

「カップうどん(日清どん兵衛)の粉末スープの味付けが関東と関西で違うらしい」

という噂を聞いたパタリロ(=山田先生)が全国各地の読者に向かって

「花とゆめ編集部宛てにカップうどんを送って下さい」

などとマンガ内で募集し、その後の回で実際に食べ比べてしまうのだ。

パタリロとタマネギ部隊の隊員達いわく、

「うーむ、関西の方はあっさりしている感じかな」

「関東のが関西で売れるか分かりませんが、関西版は関東で売ってみてもいい線いくんじゃないでしょうか」

「日清の方々にも是非ご検討いただきたいですね」

だって。

なんだこのマンガは。

マンガでカップうどんを募集して食べ比べるのか。

それで「日清の方々にも是非ご検討いただきたいですね」って。

10歳の僕にとって、この展開はショック以外のなにものでもなかった。

この時の衝撃が深く深く胸に刻み込まれてしまい、

巡り巡って今、怪談サークルとかをやっているのである。

何を言ってるのかと思うかもしれないけど、そういう風にして繋がってるんだよ人生は。

とにかく、それ位凄かったあのエピソードが、恐怖症になるほどカップうどんを食べた山田先生の、地獄の貧乏体験から生み出されたものだったのかと知ることで、僕も明日を強く生きていこうと思ったのである。




何を言ってるのかと思うかもしれないけど、自分でも何言ってるのか分からない。