立派だった。
本当に。
最後の挨拶、

「雪組、音月桂。
本日を持ちまして宝塚歌劇団を卒業致します!」

そう晴れやかに声を張った時、彼女の後ろに

バッ

と桜吹雪が見えたよ。
キラキラした雪の結晶と優しい桃色の花弁が舞って見えた。
彼女の想い、青春の日々…潔く煌々しく柔らかく、全てを浄化する美しさを誇っていた。


あぁ、春が、くる。


音月桂さん、ご卒業おめでとうございます。
私の愛した最後の雪の結晶。
こんなに美しく力強く、温かく。
素晴らしい終焉と旅立ちに、万雷の拍手を。
愛と感謝を込めて、ありがとうございました。