別れるために。


思う存分、音月桂を惜しみます。
男役として、タカラジェンヌとして。


(ごく私観ですあせる

彼女の生来の華と不断の努力によって培った実力は、まさにトップのためのものでした。
トップ就任以降、舞台人として花開いていくただ中にいます。

宝塚には「トップ演者」と言われる類のジェンヌさんがいます。
所謂、「トップになってみたら格段の魅力が花開いた。かくもトップの似合う人だったのか。」ってやつです。
よく、劇団は何は出来なくても場を埋める華や存在感がある下級生を抜擢しますよね。
トップ候補として育て、その過程では脇役者としては技術の稚拙さが目立ちますが、いざ舞台の中心にくるとなんとも舞台の治まりがいい。
何がどうでも主演としての本分だけは持っていて、トップになった時に最大限魅力が発揮される人。
音月さんは言うまでもなく、「トップに立つべき本分の人」で「帝王学をみっちり仕込まれた人」でした。
元から完成度が高い上に、トップになってから、まぁえらい勢いで開花し成長しています。
歌声なんて格段。
今までの何の役・歌も、「今の彼女」とは比べるべくもないんじゃないかな。
トップになるべき素材、そのため育った男役・音月桂は、今から堪能すべき旬が始まったのです。
また、作品を支配する演者の要としてこそ、本領発揮できる能力の人でしたから、なおのこと。



また、彼女はどんな役でも見応えのあるものにしてくれていたと思いますが、男役・音月桂を最大限に活かす、本領発揮の宛書き作品が欲しかったのは、偽らざる本心にひひ
しかし、JUSTなハマり役を探すと、確かに、彼女にドンピシャな役は難しいと思います。
中身だけなら、政治劇・心理戦・哲学的なもの・ドロドロ人間ドラマ…線が太く本格派な難しいもの程、似合うし、噛み砕いてモノにし血の通ったリアルな造型と深い味わいで魅せてくれるでしょう。
ただ、あの愛らしい容姿込みのJUSTは、難しい。
中身に合わせると外見が合わず、外見に合わせると中身が過剰。

まあ、それをカバーする表現力と魅力、体格のハンデをふきとばす力量を蓄えてトップに立った訳ですが。

問答無用のJUSTを望むなら・・・。

しかし。
その外見と中身のアンバランスさは、実はウィークポイントではありません。
私なぞゾクゾクする。
この危うい魅力はえらい武器なのに。


(続く)