男役・音月桂に娘役や若い役、明るい役ばかりがついたことに不満を持っていた人は多い。
見た目に反して骨太で重い芝居を身上とするキムの男役は、しかし容姿の可愛子ちゃんぶりと笑顔スパークリングに目眩ましされて、広く一般には「フェアリー系・爽やかな男役」と認知されていた。
彼女はそのスター性と共に堅実に実力を積み重ねてきた舞台人だったので、どんな役でも水準以上に仕上げることが出来た。
クリエーター達は、彼女の個性の特色を深く探るより、手軽に転がっている彼女の守備範囲で済ますか、自分の要求を優先することが出来た。
だけど少しよく見ている人は、ミーマイよりむしろ忠臣蔵が…とか、いい加減大人の男役が見たい、そっちのが本領だ…とか、ファン以外も言っていた。(というか私は今までで音月ファンの人と話したことがなかった)
私も、キムロミオを観た時に、見た目は少年だけれど柚希ロミオよりも「大人」だと思った。
直近のカルロスも、若者の役ながら劇中一番「大人」だった。
老いているのでは、ない。初々しい少年であり若々しい青年であり…その感性の豊かさ繊細さはそのままに、大人の穢れ・醜さ・卑怯さ・シビアさを見つめ受け入れている人物だった。
彼らの向こうには人生が見えた。
その人生は宝塚歌劇にしては生々しくシビアな質感をしていたが、彼女の容姿が、やはり目眩ましをしていた。
夢々しい姿で、それを見つめ受け入れ微笑む。
その光景はちょいグロで生易しくない。芸の本質が、そうなんだ。
だから、安易に見た目でパックとかミーマイとかやめてー、と思ってた。
でも、カルロスの度量を見て、私はキムのミーマイも見てみたいなと思った。
持ち味が明るいから似合うんじゃない、人生を滲ませる、その演技力ゆえに。
明るい楽しいHappyミュージカルじゃなくて、そうなんだけど、肝は群像劇の中に人間の悲哀を笑い飛ばして歌い踊るような、笑顔の奥の人生が見えるビルのミーマイ。
オギーショーで観た、妖艶で暴力的で毒のある音月桂を今の力量の彼女で観たいと思っていた。
オギーほど音月桂を開放してくれる演出家はいない…彼なき後、宛書き能力万歳なキムシンに当たったのは嬉しかった。
彼以上の宛書きは半ば諦めていた。
真に彼女に宛てた役でなくても、深く人生を見せつける力量が今の彼女にはある。
彼女が深化させたドラマを、もっと見たかった。
叶うなら、オギーに「鵺」な彼女を見せて欲しかった。
見た目に反して骨太で重い芝居を身上とするキムの男役は、しかし容姿の可愛子ちゃんぶりと笑顔スパークリングに目眩ましされて、広く一般には「フェアリー系・爽やかな男役」と認知されていた。
彼女はそのスター性と共に堅実に実力を積み重ねてきた舞台人だったので、どんな役でも水準以上に仕上げることが出来た。
クリエーター達は、彼女の個性の特色を深く探るより、手軽に転がっている彼女の守備範囲で済ますか、自分の要求を優先することが出来た。
だけど少しよく見ている人は、ミーマイよりむしろ忠臣蔵が…とか、いい加減大人の男役が見たい、そっちのが本領だ…とか、ファン以外も言っていた。(というか私は今までで音月ファンの人と話したことがなかった)
私も、キムロミオを観た時に、見た目は少年だけれど柚希ロミオよりも「大人」だと思った。
直近のカルロスも、若者の役ながら劇中一番「大人」だった。
老いているのでは、ない。初々しい少年であり若々しい青年であり…その感性の豊かさ繊細さはそのままに、大人の穢れ・醜さ・卑怯さ・シビアさを見つめ受け入れている人物だった。
彼らの向こうには人生が見えた。
その人生は宝塚歌劇にしては生々しくシビアな質感をしていたが、彼女の容姿が、やはり目眩ましをしていた。
夢々しい姿で、それを見つめ受け入れ微笑む。
その光景はちょいグロで生易しくない。芸の本質が、そうなんだ。
だから、安易に見た目でパックとかミーマイとかやめてー、と思ってた。
でも、カルロスの度量を見て、私はキムのミーマイも見てみたいなと思った。
持ち味が明るいから似合うんじゃない、人生を滲ませる、その演技力ゆえに。
明るい楽しいHappyミュージカルじゃなくて、そうなんだけど、肝は群像劇の中に人間の悲哀を笑い飛ばして歌い踊るような、笑顔の奥の人生が見えるビルのミーマイ。
オギーショーで観た、妖艶で暴力的で毒のある音月桂を今の力量の彼女で観たいと思っていた。
オギーほど音月桂を開放してくれる演出家はいない…彼なき後、宛書き能力万歳なキムシンに当たったのは嬉しかった。
彼以上の宛書きは半ば諦めていた。
真に彼女に宛てた役でなくても、深く人生を見せつける力量が今の彼女にはある。
彼女が深化させたドラマを、もっと見たかった。
叶うなら、オギーに「鵺」な彼女を見せて欲しかった。