1回目観た時に、こんなに素晴らしい歌唱のベンソロになぜ感動が薄いのか疑問だったけど、2回目を観て腑に落ちた。
一幕目♪世界の王♪に違和感。

この曲は主にチギマキュのテーマに思えた。
この曲の持つ若さゆえの傲慢さに、私の感じたキムロミオはフィットしなかった。
キムロミオは最初からそこまで無邪気じゃない。

思慮深く、家や周りのためにいろいろと諦めてきていそうな子に見えた。
だから、♪世界の王♪に呼応する、ベンの
‘輝かしい子供の時代終焉ソング’があまり引き立たない。
キムロミオは何だかキラキラと切ない少年で、優しく責任感が強く、また能力もあるもんだから、いろいろと自分で背負い込んでしまいそうな子に見えた。

音月さんの人柄だろうか。

だからロミオが追い詰められていく場面は悲愴だ。
ジュリエットとの結婚を仲間に詰めよられる場面は、キムロミオは事の重大さを十分分かった上で一大決心をして結婚しているので、仲間の気持も理解来るだけに後ろめたさもあり、辛そうで可哀想だった。

ティボルトを殺してしまった後の♪僕は怖い♪は鬼気迫っていた。

どんどん追い詰められるロミオは、神父と乳母に励まされ、一回立ち直るものの(ここの心の動きがとても分かり易かった。)、ジュリエットの死を聞いて、狂ったように笑う。その迫力。

死ぬ前の慟哭は彼の美しさの絶頂ではないだろうか。

ただ、ここで狂気に走っちゃうから、私はロミジュリ死後の両家の和解にあまり感動がなかったのかもしれない。
群集にまみれ、狂気に濡れて不適に笑った姿は、大人のものだった。

狂うことは、大人の領分だと思う。

今までのいがみ合いの歴史・大人の理論をねじ伏せ覆せらるのは、子供の無垢で健やかで暴力的なまでの純粋さだと思うので、違和感があった。

ゆがんだ大人社会・真っ直ぐなロミオの対比が和解を引き立たせ納得させるのに、その鮮烈さが弱まった気がした。

また、ジュリエットとの愛よりも、ロミオの苦悩をより強く感じていたので、「愛の力は無敵!!!」感がなく、これも和解シーンのダイナミズムを奪った。


おそらく私は、初演にカスタマイズされて、2回の観劇ではそこから抜け出せなかったのかもしれない。

「愛の馬鹿力」ではなく、「愛の健気さ」が、雪ロミジュリの大人への武器だったのかもしれない。

そんなこんなで私はクライマックスの感動から、やや取り残されてしまった。


星ロミジュリの、お金に群がる民衆の真ん中に立つ無垢なロミオの構図が凄く印象的で、残酷だけど美しかったので、それがキムロミオで見れなかったのも残念だった。



だらだらと書いて、読んでくださっている方いらしたら、すみません。

次ラストです。