夫は出産立会い希望だった

でも、熱望 ではなかったと思う


彼は痛い事がとても苦手だった


奥歯の抜歯ですら恐怖で震えていた🫣

私が卵巣嚢腫の摘出手術をしたときも泣きそうだった💦


でも子どもが生まれることを楽しみにしていたし、まあ私もさほど深く考えてはいなかった



しかし

結果として……


予想をはるかに超えた


トラウマ級の


恐怖体験となってしまった無気力手裏剣


夫から見た出産現場を書いていきます

※本人後日談を本にしております



おばけくんはじまり

出産予定日の夜、妻が破水をしたので一緒に徒歩でクリニックへ行く

陣痛も来ないので妻は余裕しゃくしゃくな様子だったのが、程なく陣痛が始まる


看護師さんが

『ご主人は大変になってから奥さんを励ましてもらわないといけないから、先にしっかり休んでもらいましょう』と言うので、先に個室に行き仮眠をすることに。

仮眠のつもりが、ガチでグーグーよく眠った。

いつものび太顔負けの寝付きの良さだ、

どんなときでも寝れちゃうんだよねふとん1ふとん3zzz


朝、ナースコールで目を覚ます

『2階に降りてきていただけますか?』とだけ言われ

すぐに起きて階段を降りたが、なんだかバタバタしているのでとりあえず待合室で座った

その瞬間…





聞いたこともないような

恐ろしい唸り声が聞こえてきた……


なんて言ったら良いのか……

殺されそうになっている人の叫び声のような……


ずっと唸っている……


これって………


ウチの嫁だよね……

聞いたことない声だけど……




恐ろしすぎて変な汗がでる……

館内に響きわたる声……



一体何が起こっているのだ……




母子どちらかが死んでしまいそうだ

いや、どちらも死んでしまうのか?

今にも死にそうな声じゃないか……



叫び声が途切れた……



バタバタしている中、

自分の存在に1人のスタッフが気づいてくれ、迎えに来た


『あ〜こちらに来てください』

と分娩室の前まで連れて来てくれた


でも分娩室のドアの前で一瞬ためらい


『ごめんなさいね、ここで待っていてもらえますか?』

陣痛室に案内された



そこには


分娩室に向かって、ポタポタと真っ赤な血液が落ちている。


妻のくつ下も片方落ちている





震えた

手が冷たくて

膝も震えている




一体



何が



赤ちゃんの泣き声も聞こえない



……………真顔






『ふぎゃ…ふぎゃあ』



声が聞こえた!!



脱落して泣ける

怖くて泣いているのではないぞ…泣くうさぎ


妻は大丈夫なのか??

 

だ…泣くうさぎ





ようやく、

分娩室に案内された

そこには

ぐちゃぐちゃな顔の嫁と


カワイイ僕の子ども……


よかった…


怖かった…




はっきり言って、トラウマ級の恐怖だった

もう二度と立会いは無理だと思う




すまなかった夫よ……

出産報告の電話があまりに暗かったので、義家族や友人がすぐに駆けつけてくれたっていう指差し





無事で生まれてきてくれて

本当にありがとう

出産って、本当に命がけなんだな

って痛いほど感じました


奇跡ですね、出産って


そして



世の中の

すべてのママに最敬礼


これを乗り越えて出産するんだから…



そんな気持ちになりましたうさぎのぬいぐるみ











息子は、分娩台に上がってわずか4分で生まれて来ました


でも産声が聞こえません


ドクターは想定内だったらしく、

すぐに酸素吸引を施してくれた


チラッと見えた息子の顔は

半分くらいが紫色になっていた

「うわ紫だ…」ヒソヒソと会話する声が耳に入る


全員が固唾を呑んで見守る

張り詰めた空気


私は何がなんだか分からない

今はどんな状況なのか

無事であるはず

無事でいてほしい



90秒後に息子は産声をあげた



皆が一気に安堵して、空気がガラリと変わった


よかった…


ワタシは安心して脱力し

そのまま嘔吐した(汚くてごめんなさい)


ちょうどその時、要請していた新生児専用の救急車が到着した

〇〇病院の救急隊員が来てドクターに状況を聞く

「〇〇まで心音が下がりまして……

……出産後〇〇秒呼吸停止……」

途切れ途切れに聞こえるドクターの説明から

息子は本当に危機一髪だったのだ、と分かった。


救急隊員の方が異常がないか、検査をしてくれた


出産時に呼吸をしていない場合、

脳に障害が残る可能性が高い為、

しばらくは〇〇病院のNICUに入るだろう、

と聞かされた。


ところが、検査の結果、異常は1つもなくそのまま一緒にクリニックに入院となった


初めて涙が出た


あぁ……息子よ……

無事で生まれて来てくれてありがとう

こんなお母さんで、ごめんなさい


最初に息子と対面して湧き上がってきた感情は

『ごめんなさい』

だった





病院に到着したのが23時、今は5時50分…徹夜…無気力

いつ終わりが来るのか分からない陣痛…無気力

体力は確実に消耗している…無気力


思考する余力もなくなり、

ただただ痛みをこらえるだけ無気力

ずっと付き添ってくれた助産師さんが

深呼吸〜深呼吸〜と呼吸を促してくれ、陣痛がおさまるとひたすら深呼吸…頑張って呼吸をする…ただそれだけを繰り返す




突然、助産師さんが携帯でドクターに何か伝えています。


お…


もしかして…


その時が来たのか?

期待がよぎったが、そんな雰囲気ではないっぽい


1分後に当直の先生がすっ飛んできた

本当に『すっ飛んできた』って言葉がぴったりの登場

そして助産師さんが何かを告げると


先生はナース室に向かって



「◯◯病院に救急車要請して!!』

『緊急帝王切開の準備!』

『あーご主人起こしてきて!!!!』


と大声で指示している。


そして私へ

『ごめんね〜赤ちゃん苦しくなっちゃったから

急いで出してあげないといけなくて。帝王切開にしようと思ったけど、それでも間に合わないかもしれないから…ちょっと子宮口を…イチかバチかなんだけど手であけさせてもらうからね。

痛いけど赤ちゃんの為に頑張ってね』


と言います。


ただ事ではないことは、

張り詰めた空気感で十分伝わる。

ああ…私、自分のことばっかり考えていて恥ずかしいという気持ちが一瞬よぎる


ベイビーちゃんが無事でいてくれるなら

どんな痛くたって全然平気


お願いします!と答えたと思う。


ドクターとナースと助産師さん3人が、すごい結束力だった事は覚えている

『次、横!』

とドクターが言った瞬間にナースと助産師さんが私をコロりと横にする。

そのことまでは記憶にある。


そしてその後どんな処置がされたのか……


完全に記憶が飛んでいます



夫曰く

『この世のものとは思えないうめき声をあげていた』





痛すぎてなのか、

緊張してなのか、

瀕死状態だったのか



とにかく全く覚えていない



そして10分後、奇跡的に5センチしかあいていなかった子宮口が全開した


『よし!分娩台!急いで!!』


試合後のボクサーのように、助産師さんとナースの肩を借りて分娩室へ


途中、靴下が片一方脱げた


分娩台に乗る

ナースが私のお腹に馬乗り状態で勢いよく押す体勢


先生が猛スピードで会陰切開をする


『さぁいきんでー!』


私はここで命を掛けて全力でイキむ


『いいよ〜赤ちゃんがんばってる、降りてきたよ!!』


もう一回、命を掛けていきむと

息子は生まれて来てくれました


でも

産声はあげなかった