キャンディーボール運動2
(膝下ぶらぶら運動&足先ワイパー運動)
60歳以上の50%近くの方が呈しているとされる変形性膝関節症、老化現象だと思っていませんか?
実は、膝が変形する原因はまだ明かされていません。
それにも関わらず、肥満や運動不足が原因だと言われ、不慣れな運動を頑張っている方がいますが、実は間違った運動により膝の変形が悪化してしまう可能性もあります。
では、膝の変形を予防する為に何をすれば良いのか?
最近の調査により、変形性膝関節と診断された方の殆どで、半月板がぼろぼろになっている事がわかりました。
つまり、半月板に負担を掛けないようにすることが膝を守る上で重要となります。
半月板に負担が掛かる動作は、①正座 ②しゃがむ ③足を着いた状態で膝をねじる
半月板自体は痛みを感じることはありません。
変性した半月板が、靭帯や軟骨などに接触することで痛みとして感じます。
従って一度、半月板を傷付けてしまうと、歩行や階段昇降までもが膝への負担となる可能性があります。
現在は、傷んだ半月板を、内視鏡で綺麗にトリミングし、変形を予防する手術も行われていますが、半月板の本来の目的である関節のクッション性が低下し、軟骨への負担が大きくなると懸念の声も上がっています。
そこで、私達は、この半月板の自然な動きを取り戻す運動を、変形性膝関節症の予防と治療として実施しています。
まず1つ目が、「膝下ぶらぶら運動」
膝の変形が進むと、膝の下側の骨(脛骨)が後方にずれていく傾向があり、半月板の動きを阻害してしまいます。
従って、後方にずれた脛骨を前方に戻す目的で行います。
①椅子に腰掛けて、片側の膝裏にボールを置く
②下腿をぶらぶら動かします
③膝を無理に伸ばす必要はありません
④膝を曲げる動きを意識して、てこの原理で脛骨を前面に動かします
⑤100回行ったら、逆側も同じように行います
注:十字靭帯損傷の急性期では痛みが出やすいので控えて下さい
注:痛みがなければ、人工膝関節術後の急性期から実施可能です
2つ目の運動が「足先ワイパー運動」です
膝の変形が進むと、膝がしっかり伸びなくなると考えている方が多いのですが、実際は、そうとも限りません。
変形性膝関節の初期の方でも膝が完全に伸びない方もいれば、末期と診断された方でもしっかり膝が伸びる方もいます。
つまり、レントゲン上の変形具合と、関節可動域制限には相関がないと言う事です。
しかし!
京都地域医療学際研究所がくさい病院の青島先生らの調査によると、膝の変形が進むにつれ、下腿回旋角度(膝を固定した状態で足先が内側と外側に開く角度)が相関的に低下することが分かってきました。
下腿回旋角度が低下すると、半月板の動きが低下するだけでなく、大腿四頭筋の筋出力も低下することが分かっています。
そこで、この下腿回旋角度を改善させる運動が
「足先ワイパー運動」です。
①椅子に腰掛け膝の間にボールを挟む
②ボールを落とさないように足先を内側と外側に動かす
③足全体で床をこするように動かします
④50回ごとに休憩を取り、300回を目指して下さい
注:人工膝関節術後の場合は、後十字靭帯を温存するCR型では可能ですが、切除するPS型とCS型では、控えて下さい
人工膝関節術後のキャンディーボール運動は、膝関節の床上編でさらに紹介します