こんにちは。
これは、4月から書いてて5月にUPした夢小説です。
あんなすばらしい長編のあとに、よくもまぁ、素人の夢小説を再度UPするなぁと感じられると思うんですが、少しセリフを改良したところがあるので再度UPします。
石だけは投げないで~((((((ノ゚⊿゚)ノ
いつもどおり、あくまでこれは私の遼一像ですので、苦手な方はこちらでバック or 華麗にスルーでお願いします。
申し訳ありませんが、苦情は受けつけておりませんo(_ _*)o
それでもいいよーという方は、お付き合いください。
「ただいま」
「 あれ? 帰ってないのか? おーい、ともサン 」
ガチャリーー。
「なんだ、こんなとこにいたのか」
「ギャーーーーー! ん? 遼一さん? あぁびっくりした!」
「さっきからずっと呼んでたのに全然気づかなかったのか」
「遼一さん、お帰りなさい。すいません、全然気付きませんでした」
「しかし、どうしたんだ。こんなに服を散らかして。ドアを開けた瞬間、泥棒が来たのかと焦ったわ」
「驚かせてすいません。実は、今度の受賞式に着ていくドレスを探していて」
「ドレス?」
「はい、せっかく遼一さんの栄えある授賞式に妻として参加させてもらうのにおかしな恰好ではいけませんから。今回の賞にふさわしいドレスはどれがいいか探してたんです」
遼一さんは、日本であらゆる賞は獲得していたものの、まだいただいていないものがあった。
それは、未来永劫ずっと読み続けたい作品が選ばれるという賞で、老若男女を問わず幅広い層の方に支持されたものがいただける賞だった。
それをこのたび遼一さんは受賞した。
今回遼一さんが書いたのは、戦争時代のお話。
結婚を誓い合っていた男女が仲睦まじく過ごしていた。
けれど男性は中国に出兵しなければならなくなる。
戦争が終わったらいつも2人で会っていた大きな桜の下で再会しよう、そのときにもう一度プロポーズするからーー。
その約束を胸に女性は必死に生き抜いた。
けれど戦争が終わって毎日毎日桜の木の下へ通うも男性は帰ってこない。
そして数年たったある日、親の勧めでお見合いをして他の男性と結婚する。
月日は流れ、子供も大きくなり、孫にも出会い、旦那さんに先立たれた女性はひょんなことからかつて結婚を約束をしたあの男性と再会することになる。
戦争が終わっても何年も日本へ帰ってくることができなかった彼もまた、別の人と結婚し別の人生を歩んでいたのだ。
そして彼もまた愛する妻に先立たれ一人で余生を過ごしているところだった。
そんな時に再会した2人は毎日毎日あの大きな桜の木の下で、互いの知らない何十年間を語り合う・・・
というお話だった。
恋愛小説ではなく、お互いがこれまでどれだけ一生懸命生きてきたのかを回想しながら物語は進む。
物語の最後に、
「私はあなたを本当に心から愛していた。けれど何一つ後悔はない。それはこの何十年間、毎日一生懸命生きてきたから。だからこそ、こうやってまた最期にあなたに出会えた。それだけで私はじゅうぶん幸せだわ」
満開の桜の木の下で80歳の老婆が満面の笑みで語るこのシーンは何度読んでも、心が震える。
この作品は私にとっても大好きな作品なので、賞を受賞したと聞いたときは飛び上がって喜んだ。
けれど、この度の受賞式は夫婦で出席することになっているので、遼一さんの妻とし恥ずかしくないよう何を着ようかソワソワしっぱなしだったのだ。
「あぁ、そのことだが」
「はい」
「何を着ていくかもし決まっていないんだったら、これはどうだ」
そういって、遼一さんから大きな和紙で包まれたものを渡される。
それは、ずっしりとした重みがあり、包みを開ける前に着物だということが分かった。
そして包みを開けた瞬間、その着物の美しさに言葉を失いそうになった。
「………!遼一さん、こんなに素敵な着物、見たことないです!見事なまでの桜色……こんな素敵な着物もらっていいんですか?」
それは、淡いようで内に強さを秘めた、言葉では表現できないほど見事な色に染め上げられた着物だった。
「喜んでもらえて良かったわ。いや、この桜色が小説の桜のイメージとピッタリでな。当日の着付けもすでに頼んであるからお前は着のみ着のままで日本へ帰ればいい」
「遼一さん、何から何までありがとうございます。私、遼一さんの妻として恥ずかしくないようしっかり妻としての役目を果たしますね」
その日の夜は、久しぶりに2人でゆっくり夕食を食べてお風呂に入った。
2人で湯船につかりながら、1日の出来事をお互いに話したり世間話をしたりする瞬間が私はたまらなく好きだ。
「それにしても、あの着物、本当にきれいな桜色ですね」
「なんせ本物から染められてるからな」
「桜からですか」
「あぁ。あの色がお前のイメージとピッタリだと思ってな」
「え?」
思ってもみなかった言葉に鼓動が早くなる。
けれど、返ってきた言葉はさらに予想を反するものだった。
「のぼせそうなのに、オレともっと風呂で話したいから我慢してるその顔。えもいわれぬ綺麗な桜色だわ」
「~~~~っ!!ちょっと遼一さん!!そんなの全然嬉しくないですよ!!期待して損しました」
「ハハ! 怒るなって。そして、うちのヨメは一体何を期待したんだ?」
「もしかしてこういうことか?」
そう言って、遼一さんはつーと私の唇を綺麗な人差し指でなぞってみせる。
そして、目、耳、頬、首・・・唇をのぞいたあらゆるところに触れるだけのキスが繰り返される。
何とももどかしい気持ちになるのに、唇にだけはキスをくれない遼一さん。
もちろん、私の気持ちなど遼一さんには全てお見通しで。
私の顔を見た遼一さんはフッと笑うと、
「そのほしくてたまらない顔。上気したような美しいピンク色。何年経ってもその顔にそそられるねぇ」
そう言うと、体中が砕けてしまいそうな甘い甘いキスをくれる。
そんなキスをされたら、私の身体の中のあらゆる細胞が「遼一さんが好きだ」と叫んでるみたいに熱くなる。
こうなるともう遼一さんにしがみつくのがやっとで。
遼一さんのことが好きでたまらない…
どうやったら、ありったけのこの想いが伝わるのだろう。
いくら抱き合っても境界線みたいな体が邪魔でもどかしい。
全身の力が抜けそうなのをこらえ、自分から遼一さんの首に手を回して噛みつくようなキスをしたーーー。
受賞式当日、打ち合わせのある遼一さんと別れて、着付けをしてもらうことになった。
着付けが終わるころ、コンコンとドアをノックする音が聞こえた。
「はい、どうぞ」
「ともちゃん、ヤッホー☆」
そこには、皐月さんと未来君が立っていた。
この受賞式の会場を経営しているのは皐月さんの会社だったので、応援に駆け付けてきてくれたんだとか。
未来君は「受賞式と言ったら僕でしょ?またあのときみたいにすごい質問してあげる」と言ってニコニコしている。
「ともさん、本当にお美しいですよ」
「うん、ホントにキレイ☆ こんなキレイなともちゃんを独り占めしてる遼くんはずるいよね」
「ありがとうございます。でも、これは私がキレイなんじゃなくて、この着物がとにかく素敵なんですよ」
「遼くん、この着物を手に入れるのに本気で苦労してたもんね」
「そうなんですか」
「こら未来、勝手にばらすと遼一に怒られるぞ」
「だってー。普段からともちゃんを独占してずるいんだからこれぐらいいいでしょ。この桜色はね、ともちゃんのイメージにぴったりなんだってー」
「あっ、それ言われたよ。お風呂でのぼせそうな顔色がそっくりだって」
その時のことを思い出して、少し頬を膨らませながら言うと
2人は一瞬固まったあと、顔を見合わせて笑い出した。
「遼一がそんなこと言ったんですか」
「はい」
「もう、相変わらず素直じゃないなー」
未来くんは悪戯っぽい笑みを浮かべる。
「ともさん、この桜色、何から染めてできたかご存知ですか」
「確か本物の桜から染めてできたと遼一さんが言ってました」
「桜のどの部分から煮詰めてできたか分かりますか」
「えーっとそれは聞いてませんが、花びらからですか」
「フフフ。ふつうはそう思うよね。でも違うんだよ。この桜色はね、桜の木の皮を煮詰めて作られてるんだ」
「桜の皮?」
「しかも一年中その色がとれるわけではないんですよ。桜の花が咲く直前だけなんです」
「桜の花はね、実は1年かけて木全体で懸命になってあの色を作り出してるんだって。桜の花のピンクは幹、樹皮、樹液のピンクであって、春に花びらと言う先端にその色が現れただけなんだよ」
「わぁ、その話初めて知って今ちょっと感動してます」
「だから、ともちゃんと一緒なんだってさ」
「え?どういうこと?」
「いつも懸命に生きるともさんの中身が全部が美しいってことですよ。遼一のことを心から愛し、自分を変え、どんなときも支えてくれるともさんの心はとてもきれいだと。だから表面上の美しさだけじゃなくて、ともさんの中身の美しさも表わせるこの着物をどうしても授賞式で着せたい・・・と遼一が言ってました」
「ともちゃんの内に秘めた強さや優しさなんかもこの着物なら表現できるとも言ってたよねー」
「遼一さん・・・」
「この着物のこと、ある人の本を読んで知ったらしいんだけど、突然言って手に入るものじゃないんだって。それでトレヴァーに頼んだとき、この着物がそんなに欲しい理由を言いなさいって言われて白状したの。
とにかくずっと渋ったり濁したりして言わなかったのに、トレヴァーに、じゃあ着物は用意しないって言われて。あのときの遼くんは見物だったよ~☆ともちゃんにも見せてあげたかったなぁ」
2人から聞かされた思いもよらない話に胸がジーンと熱くなる。
嬉しくて心も身体もどうにかなってしまいそうだ。
私はなんて素敵な人と結婚したんだろう、こんなにも幸せな気持ちで満たされていいのだろうか。
そんな温かい気持ちでいっぱいになったのだった。
授賞式後、遼一さんは、今回の小説が舞台となった桜の木の下へ連れてきてくれた。
慣れない草履の私に気遣いながら、2人で手をつないでゆっくりと歩く。
「遼一さん、改めてこの度はおめでとうございます。私、本当に嬉しくて」
言い終わらないうちに、声が震えて涙がこぼれ落ちた。
「うちのヨメはけなげだねぇ」
そう言って、こぼれた涙にキスをくれる。
「お前がいなけりゃ今回の賞も獲れなかったわ。ともには本当に感謝してる。」
そう言って優しく抱きしめてくれる遼一さん。
黙って抱きしめられてるだけなのに、彼の色々な想いが不思議と体温から伝わってくる。
そのうちに抱きしめる腕の力が強くなり、遼一さんの少し早い鼓動が聞こえてきて私のドキドキもとまらない。
「遼一さん」
「ん?」
「遼一さんの身体の細胞全部が私のことを大切に想ってくれてること、しっかり伝わってますよ。……この着物の桜色のように」
「…ったく。皐月さんと未来だな」
「ふふふ。私、遼一さんがどんな想いでこの着物を用意してくれたのかが分かってすごく嬉しかったですよ」
「もう、黙ってオレに抱かれてなさい」
「私、そんなにできた人間じゃないですけど、これからも遼一さんの一番近くで『廣瀬遼一』の一番のファンとしてずーっと応援させてくださいね」
「作家としてのオレをか?」
答えを分かっていながらニヤリと笑って聞く遼一さん。
彼の胸に顔をうずめていても、今彼がどんな顔をしてるのかぐらい私には分かる。
もう何年も一緒にいるのだから。
「もちろん、夫としての『廣瀬遼一』もです。遼一さんのことが大好きすぎてどうにかなっちゃいそうです」
桜の花びらが舞う中、私は顔を上げて遼一さんにキスをした。
これからも、たとえどんな困難があろうとも、2人で一生懸命生きていきたい。
満開の桜に見守らる中、お互いの温もりを確かめ合い幸せな気持ちで満たされたのだったーーー。
相変わらずの駄文失礼しました。
この桜色の話は事実です。
私もこの話を聞いたときは驚きました。
染色家の「志村ふくみさん」という人間国宝のが染めた極上のピンクの着物。
一回でいいから着てみたい!
遼一は桜が似合う男として有名ですが、私にとっても人生において桜はかけがえのない物なのでどうしても書きたくてかきました。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!