次の日、仕事が終わり、急いで家に向かう。



家に着き、玄関を開けると遼一さんの声が聞こえてきた。



「ああ、わかったわかった。ちゃんと伝えるって。ハイハイ」



あれ?電話中かな?



そう思ったとたん、突然遼一さんの笑い声が聞こえる。



「ハハハハハハハ・・・」



靴を脱いで慌ててリビングへ向かうと、苦しそうにまだ笑っている。



「遼一さん?」



「あぁ、とも。おかえり。あぁ、ほんと、笑いすぎて腹が痛い」



「どうしたんですか?」



「いや、なんでもない。ところで腹が減ったかっらご飯にしようぜ」



「なんでもなくないです!ちゃんと話してください!遼一さんの様子が変だから、私ずっと悩んでたんですよ!」



「オレの様子、変だったか?」



「はい、何が変なのか、分からないぐらい些細なことなんだけれど、何かが違うって、でもそれが何なのかも分からなくて」



「嫌だねぇ。ほんとに情けないわ。オレの感情は一切出してないつもりだったに」



「何があったのか話してください」



「お前のチョコの行方が気になってたの」



「へっ?」



思ってもみなかったその言葉に思わず変な声が出る。



「バレンタインの次の日、息抜きにラウンジへコーヒーを飲みに行ったんだよ。誰もいなくてオレ一人で飲んでたら、お前の好きな『マシェリ』のチョコのオーナーとばったり会ってな。お前のことを褒めてたよ。ホントに素敵な女性だって」



「数回しかお会いしたことないのに、そんなふうに言ってもらって嬉しいです」



「それで、オーナーが言うんだよ。うちのチョコレートはお気に召しましたかって。オレはてっきり皐月さんにもらったチョコのことだと思ってたら違うんだよな。何でもあそこのチョコレートにはフランス語で色んな意味がついた名前のチョコレートが売ってるらしいな」



「はい」



「オーナーいわく、お前が選んだチョコレートは「affection(アフェクショオン)」つまり、「慈しむ愛」という意味のチョコレートだと」



「遼一さん、それは」



「まぁ最後まで聞きなさいよ。最初は陣内さんか仕事の関係者に渡したんだと思ってたんだけどな、そのオーナーが最後に、お2人はお付き合いが長いと思ってたら最近知り合ったんですねっていうわけよ。どうしてかって聞いたら、お前が『最近できた大切な人に渡す』と嬉しそうに言って帰っていったからって」



「それを聞いてから、なんかモヤモヤしてな。ともがオレのことをどれぐらい思ってくれてるか、ちゃんと分かってる。もちろん、お前がオレ以外の人をなんて器用なことできないのも分かってたし、第一そんなことあり得ないって自信は100%あったんだけどな。ずっとソワソワしてた」



「最初はお前に普通に聞こうと思ってたんだが、なんかお前の様子がいつもと違うから。挙動不審だし、じーっとオレのこと見たりするし」



「だって、遼一さんの様子が変だったから、なんだろうってずっと考えてたんですよ」



「まさかオレの感情が漏れてたなんて、我ながら笑ってしまうわ」



「多分、付き合いたての頃なら分からないぐらいの些細な変化だったんですけどね。だてに遼一さんのヨメはやってないですからね」



「なるほどな」



「でも遼一さん、そのチョコレートを誰に買って送ったかメールしましたよね」



そう言って、自分の携帯を確認して愕然とする。



「あれ?未送信ボックスに入ったままだ。そうだ!地下にいたからうまく送信できなくて、後で送ろうとそのままになってたんだ」



「そういうことか」



遼一さんは苦笑してつぶやいた。



「で、たった今電話があったわ。親父から。出張でさっき帰ってチョコレートを受け取ったんだとさ。お前が電話に出ると思い込んでたらしいが、オレが出てたから機嫌悪くなるとかありえないだろ。でも、あの親父が直々にかけてきたんだからよっぽど嬉しかったんだろ」



「喜んでもらえてすごく嬉しいです。あの美味しいチョコレートを初めて食べたとき、おとうさまにぜひ送ろうって決めてたんですよ。でも、そのせいで、なんかすいません。オーナーにもおとうさまにって話したのにどうしてこんな話になっちゃったんだろ」



「いや、礼を言うのはオレのほうだろ。いやー、しかし、嫉妬の対象が親父だったとかほんとに情けなくて笑うしかないわ。親父には口が裂けても言えやしない」



そういってまた笑いだす。



「でも、良かった。今日遼一さんと話をしようと思ってたんですよ。来週日本に行く前にしっかり話しておかないとって思って」



「お前のことになると、オレはダメだねぇ。しかし姫を不安にさせた罪は重篤だな」



「ふふ。私怒ってないですよ。遼一さんに愛されてるなーって分かって幸せですよ」



「いや、それではオレの気がすまない」



そう言って不敵に笑う。



「お詫びの気持ちは言葉だけじゃなくて、態度で示さないとな」



その瞬間、自分の足が空に浮いているのが分かった。



そのまま寝室に連れ行こうとする遼一さん。



「ちょっと、遼一さん、おろしてくださいよ!今からご飯を作らないと。お腹すいたんですよね」



「予定変更。まずはお前を食ってからな」



あの時折見せた不安な表情は一切なく、心から楽しそうな遼一さん。



そんな遼一さんを見て、私も心底この人が好きだなぁと思うと自然と笑みがわいてくる。


かぐや姫が愛する帝と離れるとき、どれほど辛かったかことだろうか。


私はどんなことがあっても遼一さんの傍から離れない。


「私の居場所は遼一さんの腕の中だけですよ」

そうぽつりとつぶやく。


そして、遼一さんの首に手を回し、全てを委ねたのだった――








あぁ!遼一ファンの皆さま、本当にごめんなさい!


駄文すぎて申し訳ない!


特に③がグダグダ…(^▽^;)


新章でイケメン上司が遼一√で出てくるのがめっちゃ恐いんですよねwww


いつも余裕の遼一さんが不安に思ったり、傷ついたら嫌だなぁって思って。


最後まで絶対信じてくれる自信はあるんですけどね。


だから、新章が始まる前に、ちょっとだけ遼一さんにモヤモヤしてもらっちゃいましたw


それも相手がお父さんなら、笑って済ませられるなぁと思って♪


私の大好きな月と、大好きな「竹取物語」の姫を織り交ぜながら書いたのですが、お目汚し大変しつれいしました。


最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました!