栄養素の働きについてまとめました。
参考にしていただけると嬉しいです。
体をつくる(構成素)
筋肉、血液、歯、骨、神経などを作る栄養素で、脂質、たんぱく質、無機質をさす。人体の中でも最も重要な部分をつくっているので、構成素という。
エネルギーになる(熱量素)
生命の維持に必要なエネルギーを供給する栄養素で、炭水化物、脂質、たんぱく質をさす。これらの栄養素は構成素の一部でもあり、その役目に使われたもの以外がエネルギーとして体内で用いられる。
体の調子を整える(調節素)
体内の機能の調節役をする栄養素。無機質、ビタミンなどをさす。その栄養素自体はエネルギーならないが、ごく微量でほかの栄養素の働きを円滑にする調節役を果たす。
炭水化物
糖質と消化されない食物繊維とがある。
糖質は穀類や砂糖類の主成分で、エネルギー源として重要である。
食物繊維はセルロースなどを主成分とし、消化されないためエネルギー源にはなりにくいが、便通をよくする、コレステロールを吸着するなどの働きがある。
たんぱく質
体をつくったり、エネルギーになるほか、酵素やホルモンとして生理機能の調節をする栄養素である。
脂質
エネルギー源となる中性脂肪、細胞膜を構成するリン脂質、コレステロールなどがあり、脂溶性ビタミンを吸収するためには欠かせない栄養素である。
無機質について
ナトリウム
おもに細胞外液に存在し、浸透圧の維持、酸塩基平衡に関与している。
カリウム
おもに細胞内液に存在し、浸透圧の維持、酸塩基平衡に関与している。筋肉、特に心筋の収縮に関係する。
カルシウム
体内のカルシウムの99%は骨と歯に含まれる。残りの1%は血液や体組織に含まれ、血液の凝固作用、筋肉の収縮作用、神経の興奮性を適切に保つなどの働きがある。
マグネシウム
多くの酵素の活性化や神経、筋肉の興奮伝達に必要。
カルシウム:マグネシウム比は2:1がよいとされている。
リン
カルシウム、マグネシウムとともに骨や歯の成分となる。
リン酸塩として体液の酸塩基平衡を保つ。
エネルギー代謝、脂質代謝に重要である。
鉄
赤血球中のヘモグロビンの成分で、酸素の運搬に重要な働きをしている。
カタラーゼなどの酵素の成分となり、各種の代謝に関与する。
摂取した鉄は吸収されにくい(吸収率は約10%)。
ビタミンCは鉄の吸収を促進、お茶などに含まれるタンニンは吸収を阻害する。
亜鉛
各種酵素の成分となる。
特にたんぱく質合成酵素としての働きは重要で、小児で不足すると発育の遅延が起こる。
銅
各種酵素の成分となる。
マンガン
酵素反応の補助因子として働く。
ヨウ素
甲状腺ホルモンの構成要素。
セレン
生体内の抗酸化因子の一つ。
クロム
糖代謝、脂質の代謝に関与。
モリブデン
亜硫酸オキシターゼの補酵素。
脂溶性ビタミンについて(油に溶けやすいビタミン)
ビタミンA
ヒトの成長、正常な視覚に必要。
また、免疫機能にもかかわっている。
ビタミンD
カルシウムおよびリンの代謝に関与。
骨の形成に関係する。紫外線に当たると皮膚で生成される。
ビタミンE
抗酸化作用を有し、不飽和脂肪酸の酸化を抑制。
食品の酸化防止目的で食品添加物としても使用される。
ビタミンK
血液凝固に必要で、抗出血性のビタミンと呼ばれている。
骨の形成にも関与している。腸内細菌により合成される。
水溶性ビタミン(水に溶けやすいビタミン)
ビタミンB₁
糖質代謝の酵素の補酵素となり、エネルギー代謝に関与している。神経機能を維持するために必要。
ビタミンB₂
「発育のビタミン」ともいわれる。
生体内の各種の代謝系酵素の補酵素となる。
ナイアシン
多くの酸化還元酵素の補酵素となる。
ビタミンB₆
アミノ酸代謝に関与する酵素の補酵素となる。
ビタミンB₁₂
赤血球の生成に関与する。
吸収されるためには胃の内因子が必要。
葉酸
DNA合成や細胞分裂に重要。正常な造血作用に重要。
成長、妊娠の維持に必要。
パントテン酸
脂質代謝、糖代謝、アミノ酸代謝に関与する酵素の補酵素。
ビオチン
糖新生、脂肪酸合成、エネルギー代謝などに関連する酵素の補酵素。腸内細菌によって合成される。
ビタミンC
コラーゲンの生成と保持。カテコールアミンの生成や脂質代謝にも関与。抗酸化作用を有する。
参考文献: ビジュアル食品成分表 大修館書店