せっかく行った近所の喫茶店がお休み。
あちゃーと思いながら、陽気に包まれ大学時代の想い出に浸る。
大学近くなのに空いている喫茶店。
ウッド調の店内に、おばあさん店長の趣味なのかシンブルが行進するように列を作って並んでいる。
店内は学生ばかりだが、FM局ではなく文化放送が流れる。
お腹が落下を感じるぐらい沈み込むクタクタの革ソファは、ともんじゃのお気に入りだった。
少年ジャンプを半開きの口で2度読みするともんじゃの前に、君は座っている。
眉を寄せるわけでもなく、無表情にロバートフロストの英語の詩集を読みふけっていた。
木目柄の光沢あるテーブルと隊列を作るシンブル、人生相談のラジオと冷めたコーヒー、そのすべてが似合っている君の風景だった。
少しの会話とノートのコピー、2度目の少年ジャンプと君をボーッと見ている、たったそれだけのことが繰り返されていた。
バイトのお金が行動範囲だったあの頃、ここで次の講義までの時間を潰すのが君とのつながりと記憶。
それはこのお店が閉店になった時、人目をはばからず泣きじゃくっている君の姿を思い出すと、ここがどんな場所だったのか、どんな大切な時間だったのか、今なら痛いほどわかる。
当時のともんじゃが「他の店でよくない?」といった、その滑稽なセリフが今でも恥ずかしく自分を責める。
君は元気でいるのだろうか、そう思ってちょっとした好奇心でfacebookで検索、きもーいことは自覚してる。
まさかたどり着くとは思わなかったけど、写真の代わりに載っけているイラストは、まさに君のタッチそのもの。
なんだかNGOで活躍中らしい…えっとね、文が英語で書かれててよくわからんのですよー。
立派になったもんです。
君が泣きじゃくったのは英語の本が落ち着いて読めなくなったからだったのかもしれない。
The Road Not Taken
ロバート フロスト
自分が選ばなかった人生へ…
