オランダでできた友達については、抜粋でいこうかと思っていたのだけど、やっぱりみんなについて書いておきたくなったので、48の続き。タムシン、フランシーン、カレンのンで終わり族について紹介が終わったので、次は"ン"シリーズ最後、ジョン。



 ジョンのスペルは、Johnではなく、Jon。本名はカモメのジョナサンと同じジョナサンだから。初めのクラスで、フランシーンに名前のスペルについて聞かれたとき、怒った母親に、Jonathan!と呼びだされる時以外はみんなからジョンと呼ばれると言っていた。だからみんなにもジョンと呼んでほしいと。ジョンはカモメのジョナサンぽいところも少しあり、こだわりを持っていて、ちょっと変わっていておもしろい。英語はイギリス人喋りで、ヒュー グラントとか、デイビット ベッカムみたいに、部分的に鼻にかけた声を出す。セミリタイア(退職はしたが年金はまだもらってない)して時間のある生活が始まったところで、あれをしようかこれをしようか楽しみがいっぱいあるんだけど、贅沢に育てちゃった3人の子供のウーバー係で忙しそうだった(ウーバーは、日本では主に食べ物の出前にだけ使われるようだけど、こっちではタクシー代わりが主)。ジョンと私はへんてこ具合がマッチしたのか、とても気があったので、ジョンの犬のブラックジャックと一緒に、よく森を散歩した。ジョナサンと私が呼ぶと、ため息をついてにやっとした。今はイギリスに戻って、親から相続した広い土地に、オリジナルデザインでお屋敷を建てている。出来上がり記念にみんなで遊びに行くのが楽しみ。

 



 マリアホセはスペイン人。バレンシアの出身で、オランダの前にはアメリカに住んでいた。旦那さんはニューヨークの街の中に通って、家族はその近郊の住宅街のでっかい庭のある家に子供3人と犬と一緒に住むという、ドラマで見たみたいな雰囲気だったらしい。メグ ライアンみたいでかわいい。マリアホセ、ジョン、まみもが、クラスのオランダ語吸収悪いトリオ。でも全然慌てない。授業中に話が脱線すると、彼女のお喋りがとまらない。全部英語で。ときどきスペイン語で。マリアホセとベリとローラがスペイン語で話し出すと、早送り再生中みたいになる。タムシンとフランシーンはスペイン語がわかるので、聞いてニコニコしている。きっとおもしろいことを話してるんだろう。内容はわからなくても、身振り手振りとくるくる変わる表情は見てるだけでもおもしろい。アレックはこういう時教科書を読み始める。ローラは、ごめんね、私たちスペイン語人は話すことがたくさんあるの、と言っていた。無駄話が長くても、みんなは全然気にしない。マリアホセはかわいくて一生懸命だから。夏にみんなのリクエストに応えて、パエリアをごちそうしてくれた。



 ベリは、ベネズエラから来て、オーペアをしていた。(オーペアは住み込みのベビーシッターみたいなもの。)昔オイルも出て潤ってるし、年中太陽がでて暖かい楽園!ということで、ヨーロッパから移住した多くのヨーロッパ人の3世代目ぐらいで、イタリア系だった。長いまつ毛がくりんとしていて、黒い髪が伸びてくると、ふわっとした天然のカールで王子様みたい。ベネズエラで混乱が始まっていたので、もうこっちへ移住してオランダで使える歯医者の資格をとって暮らしていこうの第一歩目、まずはオランダ語を話せるようになろうのところで、私たちのクラスにオランダ語②から入ってきた。賢そうだったし、とてもよくがんばったので、もうオランダ語も完璧、歯科医の資格試験もちゃんと全部受かって、立派な歯医者さんになった。週休3日+ホリデー多めの生活を謳歌してる。



 アレックもオランダ語②から入ってきた。ポーランド人のお父さん。私たちのダラダラ具合に最初面食らったようだったが、ここは学費も安いからしょうがないと思ってくれたのか、ポーランド人らしい忍耐強さで耐えてくれたのか、コツコツと実力をつけて私たちみんなを追い抜いていった。子供たちによりよい暮らしをと移住してきていた。アレックはポーランドでは考古学の専門家だけれど、オランダではそういう仕事にはつくのは難しいと、自分は主夫で子供係をしながら仕事の機会を待っていた。生活費は奥さんが空港で仕事を見つけていたので、それでなんとかやっていこうとしていた。だいぶあとに道であったとき、今は運送の仕事をしてると言っていた。高学歴でも新天地で経歴を生かした仕事につくのは難しい。ポーランドの人たちはギャーギャー言わず、黙々と目的に向かってがんばる雰囲気がある。好き。授業中アレックをぼーっと見てると、昔、まだ若かったころにロンドンで仲良くしていたポーランド人のラデックくんのことを思い出した。



 ローラもスペイン人。スペインの北の方、多分美食で有名なバスク地方だと思うけど、小川で釣りをしたりできる小さな素敵な村で生まれたと言っていた。この地方の伝統で、ローラのお母さんも、ローラの娘も名前はみんなローラ。旦那さんがフレッド(アルフレド)なので、息子もフレッド。同性が続いて生まれたら、おばさんやおおおばさんの名前をつけるらしい。ローラの兄妹は7人みんなお医者さんで、ローラもマドリッドの病院で内科医をしていたそうだ。クラスで知り会った時は、オランダ人の旦那さんと相談し、今後はオランダで暮らしてみようかと一家でマドリッドから越してきたところだった。数年後、やっぱりオランダよりスペインに戻った方が家族がみんなうまくいくという結論に達して、ローラ家族はマドリッドに戻った。そのあとコロナがあったので、病院に復帰していたローラはその時期とても大変そうだった。そうだ。そんなローラを励ますプロジェクトの計画があった。休みもなく、コロナ状況も悪くて、憔悴してるローラを応援するために、①私たち友達軍団がローラの体内に潜入し、胃の中でキャンプし、内側からあらゆる作戦を使って元気にしてあげるというサイエンスフィクション物語を作り、②実写版で演じて、ローラに動画を送ろうという壮大な計画。私企画。だから、ちょっと現実離れしている。でも暇だし、できるかもと思ったのだ。

 長くなってきたので、今日はいったん終わり。そのプロジェクトについてとまだ紹介したい友達については、また明日。