先ほど、実家から帰ってきました。


久しぶりの我が家は、毎度ながら騒々しいけど、愛があふれていて、居心地がいい。

とても楽しく、いい帰省ができました。




しかし、そんな中、悲しいことがありました。




それは、同居人の、おばあちゃんの入院です。


とつぜんですが、実は、私のうちは、2世帯住宅です。(家の2階と、お店・工場の上のスペースが、阿部家7人の住まい。家の1階が、としこおばさんという、おじいちゃんの関係の親戚【♀92歳】がひとりで住んでいるスペース。)


としこおばさんは、東京のほうに3人娘さんたちがいるのですが、だんなさんがなくなったあとも、会津から離れたくないといって、92歳なのに、とっても元気で、うちの1階に1人でくらしていました。


もちろん、私は、物心ついたときから一緒に住んでいたので、いくら親戚だといっても、毎日挨拶をしていたし、1階には立派な仏壇があるので、たまに線香たてに行ったりしていた。

正月は、お年玉をもらっていたし、成人式では、娘に向けるような目をして、『きれいだねー』といい、写真を撮ってくれたり、写ったりしていた。




先月、親から、としこおばさんが大たい骨を折って入院した。

と連絡がきた。



としこおばさんは、持ち前の体力で、最悪な事態にはならず、経過良好。


今月の16日ころには退院できる予定だったそうだ。



しかし。



私が実家に帰る前の日(6日)


としこおばさんは、いきなり脳の半分に血がたまり、意識不明になってしまったそうだ。



私は、実家についてからその話を聞き、驚いた。


信じられなかった。



としこおばさんは、習字の先生をしていた。

毎日、着物を着て、散歩もするほど、元気だった。



『もう、意識が戻らないかもしれないの。戻ったとしても、言語障害、半身麻痺なそうなの。』




本当に、信じられなかった。





8日、私はお母さんと、としこおばさんをお見舞いに行った。



お見舞いに行く前に、もうひとつ、衝撃的なことを知らされた。


『実は、白岩さんも、としこおばさんと同じく意識不明で入院しているんだよ。偶然にも、同じ病室らしいの。』




え!?


白岩さん。。。!!?




白岩さんは、昔うちの店(味噌しょうゆ屋)で働いていたおばちゃんで、退職してからも、毎年、私たち姉妹に、お年玉をくれていた。

以前は、ちゃんとお礼の電話をしていたのだが、今年は、しなかったように思う。


小さいころから、とても私たちをかわいがってくれていたそう。



なんで、もっと感謝をしなかったのだろう。私ったら、バチあたりだ。。。



白岩さん。。なつかしい名前。顔が、ぼんやり浮かぶ。


最後に会ったのは、何年前だろう。しわが刻まれた丸い顔。にこにこしていた。うん。元気なおばちゃんだった。




2人が入院しているのは、私が高校生のとき、登下校で通っていた白い大きな病院。



入るのは、お父さんがアキレス腱を切ったとき以来だな。

相変わらず、昼間なのに、暗くてカビくさい。


エレベーターにのり、8階まで行った。


ナースステーションで、2人の名前を母が尋ねる。やっぱり、としこおばさんと白岩さんは、同じ病室のよう。


『やっぱり、なんかの縁ねぇ。偶然とは、すごいわ。しかも、2人部屋だからねぇ。』



やっぱり同じ病室かぁ。ちゃんと、花を2つ買ってきて正解だった。 そんなことを考えながら、2人の病室に入った。




2人は、信じられない姿になっていた。


うそ。。。   うそだ。




一歩後ずさりする。

ピンクのカーテンの横に、見覚えのあるおじさんやおばさんたちがいるのに気づいた。

みんなやつれた顔をしている。

うちらを見て、『ごぶさたしております。 まぁ。きれいなお花!ありがとうございます。』『このたびは、、、』 母とおばさんたちは、なにやらはなしていたが、私は、ただ愛想笑いをして、久しぶりのおばさんたちと、会話もせず、ただただ、愕然としていた。




胸が熱くなる。


としこおばさんと、白岩さん。


たくさんのコードに巻かれて、すぷー、すぷーと、横たわっている。


無表情。




ただ、生きている。





ただ、見られている。





小さい、黒い、しわしわ、しわしわ。







その熱いものは、波となって、何度も何度も、私に嗚咽を吐かせようとした。


みんなのいるまえで、ぎゃーぎゃーと泣くことなんてできない。


かといって、このこみ上げてくるものを、外に出さずにはいられなかった。

私はただ、口を一文字に閉じて、母のうしろで静かに涙をこぼしていた。



悲しい、いやだ。ショックだ。信じられない。目を覚ましてほしい!元気になってほしい!!


そういう気持ちだけじゃなかった。



なんていうのか。



人間




そのものを見た気がして。


怖くなった。 のだろうか。




でも、最初にあげた理由が大きいでしょう。


あんなに元気で、『ともちゃん、帰ってきたんかい!おかえり!』 今年の1月、そういって迎えてくれたとしこおばさんは、今回は家にいない。  




おかしい と思った。


なんて残酷な!


ひどい!ひどい!


そう思った。




意識不明の人を目の当たりにして、私は、何に対してかわからないけど、怒りを覚えた。そして、なんでこんなに自分の胸が苦しいのか、考えるほど冷静にもなれなかった。そう、なりたくなかった。


いまだけは、感情のままにしていたいと思った。



自分の新たな感情を、発見した気がした。














・・あんなに元気なとしこおばさんだもん!すぐに、意識、戻るよね!!!!

今までの恩返し、まだしてないよ!!いっぱいやさしくしてくれて、いってらっしゃい、おかえりなさい、言ってくれて、一緒に住んでるだけなのに、いっぱいよくしてもらった。


お願い!お礼を言いたいんだ。 目を覚まして!! としこおばさん!!




白岩さんも、すぐに、意識、戻るよね!!

そしたら、まっさきに、お礼を言おう。


何年も、何年も、うちら姉妹によくしてくれて、ありがとうって。

年金暮らしでつらいはずなのに。


そんなにいいこじゃなかったよ? ねぇ、白岩さん。 


ごめんね。


・・



ありがとう。




しわの数だけ、笑顔があったんだよね。


ニッカと笑った顔、何年も前にみたっきりだけど、覚えているよ!





2人は、今日も、同じ病室で、魂同士でお話しているのかな。







知り合い同士、病室が一緒。 

こんな偶然って、ホントにないよね。 2人なら、さみしくないはず! 私たちは、みんな、その点では、すごく安心しているよ。




早く、元気になってほしい。