[ セイコー マリンマスター SBBN035 ]
 
■前回ご紹介した、"必要十分ダイバーズ・ウオッチ" の「シチズン社プロマスターBN0156」の横に、「セイコー社のマリンマスターSBBN035」を並べてみました。
 
■右側のBN0156は、社外品のラバーベルト( 皮革風 )に付け替えています。このベルトの外見は気に入っていますが、まだ丸まらないでまっすぐな形状であろうとするコシが強く、時計を着用しているといつのまにか、時計が腕の上の正規の位置よりも向こう側へと回ってし
まいます。ベルトに使用時のクセがついてくれば解消されるような話ですし、こういう小さな発見や素材の変化も、眉間にシワを寄せず、暮らしの中の話題としてただ面白がればよいのでしょう。
 
■それに較べると、SBBN035の純正ベルトの付け心地は、私にはまったく文句がありません。しなやかで、表面に人肌のような吸湿性があるのか、なんだか漆器のような触れた感触であり、まったくもって「いい感じ」です。そのうちにご紹介する、巨大なシチズン社「アクアランドBN2021」の、時計を意識させることこのうえない「異物感」にくらべると、まっとうな時計の性能の一部としての「ベルトの装着感」を研究し改良してきた時間の蓄積を感じます。
■マリンマスターSBBN035はいわゆる「外胴プロテクター」を備えた、セイコー社のロングセラー・ダイバーズ・ウオッチの、幾種類かある製品の末弟です。1000m防水ダイバーと比べると、この300m防水モデルは少し径が小さく、少し厚みが薄い。外胴付きモデルは、ゴツくタフなアウトドア向きの時計という先入観がありましたが、実際には~手垢のついた表現は用いたくないけれども~着けていることを忘れるような時計です。
 
■公園や街路樹など公共事業で才覚を発揮している新興造園業者の社長さんとお話しておりましたら、『造園は、小堀遠州の時代から茶庭や浄土思想と結びついてきたので、歌舞伎と同じように代々相伝で伝わる伝統や型があるのだという通念が根強くあります。起業してせい
ぜい十数年の我々は、長く続いている老舗の造園業者さんに対してコンプレックスがあるのです。それが、必死の勉強や枯れ枝リサイクルなどの進取につながり、一定の営業成績を上げられたように思います』 とおっしゃいました。
 
■マリンマスターSBBN035の付け心地のさりげなさには、[ 試作→ 評価→改良→発売→反響→改良 ]の歴史が積み上げたものを感じます。製品寿命がますます短くなる昨今、外胴タイプのダイバーズ発売から40年!などというロングセラーは、価値があります。
購入する者の心理として自分を振り返ると、買い物において消費者はなんとなく「良い買い物をしたな」と思いたいし、周りから思ってもらいたいような気がします。そんなときにすがる「軸」が、ブランドであったり、ロングセラーである事実であったりするように思います。
 
■SBBN035の外胴を外して付け替える、カスタム外胴が完成しました♪
自動車デザインにおいて、広い平らな面に折れ線を入れて流れや動きを表現する「キャラクターライン」を、外胴に入れてみました。ステンレス塊から精密加工機で削り出したものです。