[ 古い国産腕時計は 非防水扱い ]

■古い国産腕時計は、時計職人のおじいさんがやっている地元の店で購入しました。

おじいさんは「 大事に使ってくださいよ。汗や雨水などの水分が内に入ると、ムーブメントがやられてしまいますからな 」 と念を押して、ショーケースの片隅にあった、その古い手巻き時計を包んでくれました。

■天気が崩れて雨が降りそうになると、早めに腕から時計を外して、カバンのメガネケースに入れます。汗にまみれる夏の間は古い国産手巻き腕時計は使わずに、休んでもらっていました。それはそれで、慣れると、少しだけ手のかかるペットのように 「嫌な面倒臭さ」 ではなくなっていきました。サボテンに水をやりながら「元気か?」と声をかけるように、時計にも「 ほらゼンマイ巻いたぜ 」 などと声をかけたり( 変態か )。

■以前に使っていたSEIKOのSBGW001は、時計を耳に近づけてもほとんどチチチチという機械式ムーブメントの音が聞こえませんでした。音を発生させるにもエネルギーを消費しますから、『 SBGW001の機械式ムーブメントは、ゼンマイが蓄えたエネルギーを輪列の駆動にのみ注ごうとする、精度と効率に優れた機械なのだろうな 』、と感心しつつ、何か物足りない気がしたものです。その点、古いSEIKOクラウンは、しっかりと、「精一杯頑張ってる機械」っぽい、チクタク音が聞こえてきます。

 

[ 鉄道利用には常時使える腕時計が ]

■一時期から私は、片道24kmをロードスポーツ自転車で通勤するようになりました。途中にベタ踏み坂を含みます。所要時間は55分間。往復約50km、1か月約1000km。天気が大きく崩れると、自転車を置いて鉄道で帰宅するのです。4年間それを続けて、体脂肪率が下がりました。残業後の深夜の帰宅中に職務質問を受けたことが3回、右折のクルマにぶつけられたことが1回、一人で大転倒したことが2回。台風の突風を追い風にしたときの記録が、片道44分間。

■しばしば鉄道に乗るならば、腕時計があったほうが絶対に便利だと実感しはじめます。それまで、非防水扱いの古い手巻きをメインの腕時計に据えて、腕時計をしない日も多く、それで問題なかったのが、不便を感じ始めたのです。自転車走行の振動で壊れるのでテンプが繊細な機械式は避ける。転倒して壊しても惜しくない程度の価格帯。不意の雨もあるから防水性能が高いほうが良い。たまたま最近の気分から国産。

 

[ それで最初に選んだのが ]

■シチズン社の「プロマスター」シリーズのダイバーズウオッチ、BN0156。

ラバーバンドが付属していましたが、一見皮革製のように見える、縫った飾りステッチ付きの社外品ベルトに付け替えました。針のオレンジに合わせて、糸色もオレンジのベルトを選んでいます。シンプル嫌みの無い顔つきで、大きさも重さも手ごろ。私の必要十分を満たす時計です。回転するベゼルは60刻みで1回転。1分刻みに計測できるということですね。

セイコーのダイバーズウオッチは120刻みであったりしますが。カップラーメンの3分や、自転車通勤の所要時間をざっと測る程度の利用方法ですので、私の場合に不満はありません。

光に当てると発電して駆動するエコドライブのクオーツ時計。自転車走行の振動は、ときには段差を超えますし、機械式時計にはかなり厳しい条件で、故障の原因になるといいます。それをほぼ毎日となるとなおさらに。このダイバーズウオッチは、自転車通勤に1年間は使用していますが、故障知らずです。