がむしゃらにお菓子を作っていたあの頃。


おいしいものが大好きで、デパートに入っている洋菓子ブランド「OGGI」で商品開発の仕事をしていました。世の中にありそうでないものを生み出すこと。それは、亡き先代の教えでもありました。


先代は、誰もが知る有名なクッキーを考案した方。「1つの商品を作るのに100回試作しろ。」その言葉を胸に、私は試行錯誤を繰り返しました。どの組み合わせが最高においしいのか、何度も試す——まるで研究者のように。


そんな日々の中で生まれた抹茶のテリーヌ。

口に入れた瞬間、香り高い抹茶とホワイトチョコのクリーミーな味わいがとろけて広がる。まるで和菓子の練り切りのような、なめらかな口どけ。自分でも「これは最高の作品のひとつだ」と思えるものができました。


この商品はもう販売していないけれど、私の原点です。

あの頃はひたすら作って、翌日チェックして、また作って…その繰り返し。がむしゃらにやることが、ただ楽しかった。歳を重ねると、がむしゃらになることにブレーキをかけがちだけど、またあの頃のように夢中になりたい。そして、もう一度食べたいなぁ。抹茶のテリーヌ。


あの時は「おいしい」と思ってもらえることが何よりで、写真を撮ることなんて考えてもいなかった。ただ、買ってくれた人が幸せになってくれたらそれでよかった。今になって思う。1枚くらい、ちゃんと写真を撮っておけばよかったなぁ。


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