生まれた時から、いや、もっと前からの私は、今のこの私の中に全てが在る。
だって覚えているから。
かすかだとしても、記憶があるということが、証拠なんだって思ったら、
ああ、もう全てを許そう。
夏至なんだし、恩赦っていうアレだよ。
全てをとにかく許してしまおうという感覚が湧き上がってきて、居ても立っても居られない気持ちになった。
握りしめていた手を離してしまおう。
どんな自分だっていいじゃないか。
私が私を見張ったり、厳しくする必要なんて何もない。
私が私の味方じゃなくて、どうするというのか。
腑に落ちる感じがしたものの、
だがしかし、どこかなんだかすっきりしない。
何が詰まるのかを、自分の内側を行ったり来たりスキャンするように探してきたところ、さっき子供の時のことが浮かび上がってきた。
なかなか、核心にたどり着けなかった理由は、私が私に嫌な思いをさせたくないと思ってたからだった。
盲点だった。
転校して、カリキュラムが前後してて、算数でつまづいた私がいた。
こんな基本的なことが分からなかったら、もっと難しくなった時にが大変と言われたのか、自分で思ったのか、。
初めて割り算の式をテストで見て、それは分からなくても当たり前だよね。
分からないって、先生にも、親にも言ったけど、なかなか上手くいかなかった記憶がよみがえる。。
喉がギュッとなるし、体がかたくなって、青ざめている小さな私。
どう声をかけても、力が抜けなくて。
「このままじょうずにできないと、未来の私に嫌な思いをさせちゃう。迷惑をかけちゃう。どうしよう、ごめんね。。」
見えない未来を恐れる気持ちと、私が私に嫌な思いをさせたくないという気持ちがあるということが、伝わってきた。
これには驚いた。
それじゃあ、学校は楽しくないし、日々生きていくことだって、しんどくなっちゃうよね。
こっちこそ、ごめんね。
未来の私は、だいじょうぶ。
ちょっとくらいつまづいたって、取り返す機会はたくさんあったよ。
算数がイマイチでも、エクセルだって、アクセスだって結構じゃんじゃん使えてるんだよ。
嫌なことを言われたら言い返すし、けっこう強いから大丈夫。
心配しないでと伝えたら、すこし緩んだ。
そして笑った。
なんてマジメな、しっかりものなんだと、我ながら驚くのと、自分らしくて、苦笑いと涙が同時に出てきた。。
今の自分が未来の自分にサポートを求めるなら、過去の自分をもっとサポートしておかないとなあとも思う。
傷ついた自分に、今はもう傷が治っていることをどんどん伝えに行こう。