「スノータウン」を見ました | けろみんのブログ

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オーストラリアのアデレード郊外の町で実際に起きた連続殺人事件をもとにした映画。

隣人から性的被害を受けた少年ジェイミー。少年の母親の恋人ジョンは加害者に嫌がらせをして町から追い出す。みんなのリーダーとなり何かと世話してくれるジョンをジェイミーは信頼する。

しかし、ジョンは正義の味方などではなく自己判断で性犯罪者などを「処刑」する殺人鬼だった。ジェイミーは次第に彼の指示のもと犯行に手を貸すようになる。

オーストラリアは広い国なのでのびのびした大自然を想像がちですが、この映画に出てくるのはひからびた、空っぽの空間だけ。そこにある閉塞した小さな田舎町が舞台。ジェイミーは母親と3人の兄弟と暮らしており、彼らを取り巻くのは行き詰まった絶望感だけ。汚い平屋建ての家に住みスロットマシンやTVゲーム等しつこく繰り返す不快な人工音。粗末な食べ物を摂り、ひっきりなしにタバコを吸い、酒を飲む。近所同士集まれば自分より劣っていると思われる人々を蔑み行政の不手際をののしる。たるんだ身体で適当に性交する。

それでも生活に困った様子はない。福祉も発達しているためか慎ましくくらせば大して収入がなくても生きては行けるらしい。退屈な人生である。

私は1997年にシドニーから500km内陸にはいった田舎町に滞在したことがあるが(ここも遥か昔、猟奇殺人事件があったと「不完全犯罪事件簿」で読んだ)
空っぽの土地に囲まれた田舎町の閉塞感にはつくづくうんざりした。

この連続殺人はそんな鬱憤をはらすために「悪者を懲らしめる」を大義名分として鬱憤をはらしたかっただけじゃないのだろうか?

主犯のジョンの描き方が非常に的を得た感じで感心した。いつも身ぎれいにして、笑顔を絶やさない反面、自宅は荒れて吐き気がするほど汚い。こういう人物は心が荒んでいることが多い。笑顔は人を自由に操る手段になるし、身ぎれいにしているほうが人びとに信頼されやすい。

結果的に一味として殺人に手を染めたジェイミーには最初から将来の夢など一つも感じられず、16歳にしてすでに人生をあきらめてしまっている。周りにいる惨めな大人たちをみていたらそれも無理はない。

大抵のグロ、残酷描写には全くなんの感情もわかないけれどもこの映画のカンガルーの扱いには本気で吐き気がした。これは酷い。
確かにオーストラリアではそこらへんにぴょんぴょん飛んでで厄介者だけど、そこまですることないんじゃないの・・・。とにかく後味最悪の映画でした。






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こちらの映画も、同じ事件を題材にしているそうです。

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