「ティバルドと消えた十日間」読んだ | けろみんのブログ

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ティバルドと消えた十日間/翔泳社
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ベネディクト16世が異例の引退(1414年グレゴリウス12世以来)というニュースを聞き、なんとなくローマ法王的な本を図書館で借りて読みました。
1582年にユリウス歴からより正確なグレゴリオ暦に移行する際、調整のために10/5から10/15日の間がすっとばされることに。ティパルド少年の誕生日は10/10なので彼の誕生日がきえてしまいます。誕生日のお祝いを大切に思っている少年はどうにか自分の誕生日を救おうと色々な人の助言を聞き、何とか自分の誕生日を取り返そうとします。

この小説の面白いところはストーリーではなく、この時代の学問の事情が分かりやすく解説されているところ。どうして、暦がこんなに重要なのか。他の国との関係、天文学と占い、医学の関係など、ヨーロッパの中世に疎い私にはとても新鮮でした。

中世の世界には現在に通じる問題もたくさんあります。いまでも「占い」と「医学」おまじないのような非科学的なものにすがりつく人もいますし、古い考え方から新しいものになかなかなじめない人もいます。
この時代の治療の最先端は「血を抜いて毒素を抜く」「お腹を空にして綺麗にする」という、患者の体力を奪う物ばかり。
最近はやりの『デトックス』みたいですね。読んでいて寒気がします。

天文学の歴史もよくわかるようになっていて、楽しい読み物でした。