今週発売になった週刊競馬ブックで取り上げたオジュウチョウサン。
 
 
障害初戦で最下位の14着に敗れながら、絶対王者と言われるまでになったサクセスストーリーを取材に基づき、書かせて頂きました。
 
いよいよ明後日に迫った中山大障害の主役という事もあり、
競馬ブックへの記事には大きな反響を頂いて、取材にご協力頂いた和田正一郎調教師と石神騎手、長沼厩務員に感謝するとともに、オジュウチョウサンの道程を記せた事は書き手冥利に尽きます。
 
 
競馬ブックの記事は2ページで書ききれない話があり、
またモノクロだったため、今回のブログではオジュウチョウサンの写真も載せたいと思います。
 
まずは改めて、オジュウチョウサンの素顔。
 
 
 

レースでは水色のメンコをつけているオジュウチョウサン。
素顔は鼻梁白が通ったイケメンなのです。
 
担当の長沼厩務員いわく、
「去年の中山グランドジャンプを勝った後くらいから目つきが鋭くなり、今でもかわいい顏はしてないよね(笑)。好物?食べ物の好みは特にないね。好物は人を噛む事でしょうね。隙あらば噛んでくるので(笑)」
 
との事。
 
競馬ブックの原稿にも書きましたが、今まで厩舎ジャンパーを何枚も破られているそうです。
 
オジュウに蹴られて怪我をしたこともある長沼さん。
昨年3月の中山戦の前にオジュウチョウサンに蹴られて肋骨を3本、骨折。
しかし、2戦後に中山グランドジャンプを控えていた事もあり、長沼さんは「責任を全うしたい」と和田先生に話し、痛み止めを飲み、サラシを巻いて、仕事を続けたそうです。
 
オジュウチョウサンは洗い場などで隙あらば立ち上がったり、馬房で噛みついたりするそうですが、
石神騎手によると「長沼さんがオジュウを怒っている所は見た事がない」との事で、オジュウの気持ちに寄り添って接してあげていることも、オジュウチョウサンにとっては良いのでしょうね。
 
オジュウチョウサンと長沼厩務員。
オジュウの目つきは鋭いながらも、長沼さんを信頼している様子が伝わってきます。
 
 
そして、当初はトモがゆるく、体を上手く使えなかったためにレースで出遅れたり、走る気を見せなかったオジュウチョウサンのために、石神騎手が選択した「森林馬道での運動」。
 
 
これはアップダウンや湿ったチップが多い森林馬道を早く歩かせる事で、体をしっかりさせる効果を狙ったもの。
石神騎手がオジュウチョウサンに初めて騎乗した2015年の東京ハイジャンプの後から始めた調整で、
石神騎手は美浦にいる時は今でも毎日、森林馬道で運動を続けています。
 
 
 
 
11月末に撮影した、森林馬道でのオジュウチョウサンと石神騎手。
 
今回、撮影した写真の中で一番のお気に入りです。
 
晩秋で色づいた森の木々に囲まれ、ゆったりと歩くさまはまさに二人の世界でした。
 
特にオジュウチョウサンはレースが近づくと、自分でスイッチを入れて、コースでの調教や馬房ではピリピリするところを見せるそうなので、馬が少なく静かな森林馬道で調整することは、体をしっかりさせる効果の他に、気持ちをリラックスさせる効用もあるのではないかと、見ていて思いました。
 
 
 
 
 
 
調教後、馬房で一休みしていたオジュウチョウサン。
 
実はこの前方に石神騎手がいて、オジュウを呼んだのですが、
「なんだ、またおまえか。さっきもう乗ったじゃないか。もう今日は俺、走らないからな」
と言っているふう(笑)。
 
石神騎手によると「調教後に馬房に顏を出しても、いつも寄ってきてくれない」
そうです。
 
なんでも、
「レースで走る事は好きでも、調教はあくまでも調教とわかっていて、最近はずるさをしたり手を抜いたりする。だから調教コースの入り口を変えたりして、オジュウを飽きさせないようにしている」
そうです。
 
頭が良いんですね。


 
 
競馬ブックの原稿に書いた通り、
オジュウチョウサンの障害馬としての資質は、「スタミナと集中力と頭の良さ」
 
特に石神騎手はオジュウチョウサンの並外れたスタミナを高く評価しており、
「距離が延びる程、負ける気がしない。他の馬にはないスタミナの持ち主なので。4100mのアップダウンがあるコースは、スタミナのない馬はばてていく。オジュウチョウサンは後半に強いので、中山大障害は無事に走れれば結果がついてくると思います」
 
と語っていましたよ。
 
 
 
最後に、オジュウチョウサンといえばよく話題に上がる海外遠征について。
 
和田調教師に聞いたところやはりよく、「グランドナショナルに挑戦しないんですか」とファンから聞かれるそうです。


和田先生によると、
現段階でのオジュウチョウサンの最大目標はカラジが持つ中山グランドジャンプ3連覇の記録に並ぶ事。
 
輸送や現地での調整時間などを考慮すると、海外遠征実現の可能性は低いとしたうえで、
長山オーナーから海外遠征の話が出れば、提案できる準備をしているそうで、

「グランドナショナルは特殊なレースなので、現実味は低いですが、例えば他のイギリスの障害レースなど、提案できるレースを調べています」
とお話されていました。
 
ただ、この提案候補のレースは3月ですから、まず来年はないでしょうし、日本での連勝記録も伸ばしてほしいので実現性はどうでしょうね。
 
 
 
さあ、中山大障害が迫ってきました!
石神騎手によると、大竹柵や大生垣を飛ぶごとに場内のファンから起こる拍手は乗っている騎手には聞こえるそうで、
「拍手は馬に影響はありませんよ。お客さんが盛り上がってくれるのは良いと思います」
と言って下さいました。
 
とは言っても、
やはり大袈裟な拍手は控えて(^-^;、ゴールを過ぎたら大きな拍手を送りたいですね。
 
まずは全馬が無事にゴール出来ますように。
そう願わずにはいれれません。
 
 
今回の取材を通して、私はよりオジュウチョウサンが大好きになりました。
 
今後も、追いかけていきたい存在です。
 
 
コジトモ