今年の天皇賞春は、ゴールドシップがロングスパートを見せ、記録以上に私達の心に残るレースを見せてくれました。



ゴールドシップがスタミナ勝負の消耗戦に持ち込んだ印象の今年の天皇賞春。


勝ち時計は3分14秒7で上がりが35秒3。


確かに、私が予想していたものより、勝ちタイムは1秒程度遅かったし、上りも34秒台になるだろうと思っていました。



私はこの要因を天皇賞当日のブログにも書いた通り、馬場を軟らかくする効果がある「シャタリングマシン」を京都競馬場では2011年から使用しているため、馬場が少しずつ軟らかくなっているからだと思っていました(今でもその影響が多少あると、個人的には思っています)


しかしレース後、ネットである話が持ち上がってきました。


それは・・・



「京都の芝はレース前日に散水したらしい」

という事でした。


週刊競馬ブックの騎手のコメントを読むと、

何人かの騎手がこの天皇賞デーの馬場のことを


「水を撒いたと聞いている」 「良馬場発表だけど緩い馬場だった」

などと語っているコメントが載っていました。



これらのコメントに尾ひれ背ひれがついて、ネット上では色々な噂が拡散していきました。

(具体的な名前は出しませんが、ある馬に有利になるための馬場をJRAが造ったのではないか?などです)



「馬場のすべて教えます」にも書いてあるのですが、JRA馬場造園課は芝の生育に必要な散水以外は、散水はしません。


その理由もこの本に書いてありますが、ここでも簡単にご説明しますね。


なぜ必要以上の散水をしないかというと、「公正面の問題」からで、


「湿った馬場が得意な馬もいれば、乾いた条件で成績の良い馬もいて、それをどちらかの有利になるような馬場を意図的に造ることは不公正だと考えているからです」と、この本を書くにあたり、取材に答えて下さったJRA馬場土木課の課長補佐は話していました。



この話を聞いていたので、今回の散水騒動は何か事情があった故の事ではないかと思い、京都競馬場、馬場造園課の森本課長にさっそく、お話を伺いました。



森本課長からのブログへの掲載許可を頂いたので、以下に事情を書かせて頂きます。



「京都競馬場は天皇賞前日の1週間以上前から全く雨が降らない状態。ですから、天皇賞の週も月曜日から金曜まで芝の生育のために散水をしていました。


それでも、土曜日も芝はカラカラ状態。普段から信頼している天気予報を見ると、天皇賞当日も晴れて気温が上がる予報だったので、芝のために必要だと判断し、土曜日のレース後に散水を行いました。


しかし日曜日、信頼していた天気予報とは異なり、思っていた以上に気温が上がらず、土曜に行った散水の水分が抜けきらない状態となっていました」



確かに、天皇賞当日の午前中の天気は「くもり」のまま。

晴れに変わったのは8レース前でした。



日曜日の3レースで芝のレースが組まれており、そのレースに乗った騎手から、「水分を含んでいるのはなぜなのか」という声が上がり、馬場課長が検量室に飛んでいき、騎手の皆さんに事情を説明し、天気予報の影響であったとはいえ、今回のことをきちんと騎手の皆さんに話したそうです。

この話を聞いて、ああ、そういう事情があったのかと納得しました。



つい忘れがちですけど。


芝は生きています。


気温が高い日に散水をしなければ、芝は枯れます。


だから、散水をするかしないか、そのさじ加減は非常に難しいですよね。


天気予報が外れることもある訳ですから。



だから今後は、「芝は生きており、その時の状況(天気など)によって状態を変える事もある」ということを頭に入れておきたいと、改めて思いました。




オーバーシードした芝の写真(芝の写真があった方がいいかなと思って載せています)



天皇賞当日も天皇賞以外のレースではそこそこ速いタイムが出ているので、全く散水をしなかったら、もっと馬場が乾いて含水率が下がり、速いタイムになりすぎたかもしれず。


そうすれば今度は、「時計が速すぎる」という違う声が上がっていたかもしれません。


だから、難しいですよね(^-^;


今、JRAのホームページには、「芝の生育管理のために前日夜に散水を実施することがあります」と書いてあります。


ここで皆さんが思うのは、芝に必要と思って散水を行うというのはわかった。ではレース前日に散水したなら、その情報をきちんと開示してほしいという事だと思います。



確かに今のJRAホームページの馬場情報の発表の更新は金曜のお昼までとなっていますからね。




でも今後は、具多的な内容はまだわかりませんし、すぐにという訳にはいかないと思いますが、更なる情報開示が進んでいく可能性があると思います。


「馬場のすべて教えます」には馬場土木課の皆さんによる座談会の様子も収録しているんですね。


そこでも話が出たのですが、

「馬場土木課では馬場状態の発表なども含めて今後はファンの皆さんにもっと情報公開を進めていきたいと考えています。でも、これは馬場土木課だけで決められる事ではないので、議論を進めていきたい」

と話していました。



ですから、確実にそのような動きはあるということなので、この後の展開を待ちましょう。



今回の事は、私もとても勉強になりました。



最後に。


ウインバリアシオンの怪我は心配でしたが、命が助かり、今後新しい生活への準備に入る予定と聞いて、本当に良かったと思っています。



コジトモ