寒くなると思い出す話・・ | 宜しかったら見て下さい☆彡


私の身近で

実際にあった話です。


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特別寒かった或る日

その日もいつもの様におじいさんの酸素を持って
2人で出掛けていました。
今使っているものが残り少なくなっていたので

予備の酸素を持って。

高齢の2人の行動範囲は限られていますが
その日はいつもより遠くに出ていました。
と言っても自宅から車で2~3分位ですが
2人の足では30分は掛かります。


酸素が無くなった様なので予備の酸素を
取り出そうとしたおばあさんの顔が

蒼白になりました。
予備だと思っていた酸素は空

もう全く残っていませんでした。
このままではおじいさんが大変な事になります。
平日のお昼間。
たまたま人も車も通っていません。
携帯電話は持っていません。
おじいさんは苦しみ出してしまいました。


・・とそこへ1台の車が。
おばあさんは我を忘れて車に突進しました。
自分が跳ねられる事など構わないかの様に…


「すみません!!!酸素が切れてしまって!
お願いですから自宅まで乗せて行って下さい!」
運転手は事の状況を察し

慌てて2人を自宅まで乗せて行き
おじいさんは事なきを得ました。
「本当に有難うございました。
お名前と連絡先を教えて下さい。」
「いえ。困った時はお互い様ですし。」と

運転手は去って行ってしまいました。


年も明けた4日目。
おじいさんは亡くなりました。
葬儀でおばあさんは弔問に訪れていた人に
「年末に大変な事が起こったのだけれども」と
事の顛末を話したところ、ある特徴から
「自分の近所に住んでいらっしゃる方かも。」

と言われたので
法要などを1人でこなし
教えられた通りに訪ね

その運転手と再会を果たす事が出来ました。

おじいさんが知ったらどんなに喜んだでしょうか。
おばあさんは改めてあの時のお礼と
おじいさんが亡くなった事を告げました。

「あの時に助けて頂けなかったら
あの時に亡くなっていました。
本当に本当にありがとうございました。」
と言い、持って来ていた袋を差し出し

帰って行きました。


袋の中身は菓子箱でしたが

中身はお菓子ではなく
2人の思い・・・だったのかも…


寒くなるとこの話を思い出します。

10年以上前の事です。