1ヶ月のうち35日雨が降ると言われる屋久島。





水の島。



生命力の緑に覆われた森。










かの宮崎駿がインスピレーションを受けた世界。











「もののけ姫」で、アシタカとサンが初めて出会う場所。この大きな岩のある風景。













木霊を表現させた森。
ここには、現存する苔のうち、半数が生息するらしい。

この苔には無数の雫がつく。

その輝きは3カラットと表現される。












この日は、ガイドさんも驚くほど珍しく太陽に恵まれた。

神様ありがとうございます。








水に恵まれ、太陽に恵まれ、木々は大きくなった。


現存する大木は、木材に出来なかったから伐採されずに生き残った。

中に空洞があった。そのおかげで生きられたのだ。










うすい輪切りの木材が30枚は、俵一つの価値があったのだそう。







こんな険しい山から、よく大木を切り運び出した先人のことを思う。







ハートが四つ隠れているそうだ。

この木。








このすみれの葉。







鹿のお尻。


そして、これ。








一歩一歩踏みしめるたびに、なんだか以前からこの土地を知っていたような気さえしてくる。










しかし、その美しさたるや、どうやって表現したら良いのだろう。










この水の透明感を例えられるほど

透明なものを

私は知らない。









道は確かに長く、息のあがり方や膝の痛み、筋肉の疲労はだんだんと増してきたけれど、

どこを見ても美しいその大自然の神々しさが、









疲れを忘れさせる。











いくつもいくつも樹齢千年を超える樹々を越えて












ようやくたどり着いた森の王者。








見上げた。










視界に入りきらないほど、大きい。








ついに来た。あなたの足元に。

本当に来た。




けれど、





私は気付いた。








ダイニングの壁に貼ってある縄文杉の写真。









私はあの写真を見上げながら毎日、筋トレをした。

あの写真を見上げながら、資金を貯めるために頑張り、

あの写真を見上げて、必ず行くと誓った。





今、目の前に、縄文杉が視界に入らないほど大きく存在している。



そして、この空気は、
屋久島の、体験したことのない、独特の心地良さである。







でも、同じだった。

自宅のダイニングで、見上げた縄文杉と、
今、目の前に広がる縄文杉は、



同じ強い想いで、
同じように目の前にある。





つまり縄文杉の写真を壁に貼り、
見上げながら、その目的に向かって一歩ずつ前進していた私は、






すでに、もう、ここにいたのだ。

本物の縄文杉の目の前に。

過去も未来もない。

もう、すでにここにいたのである。




そのことがわかったとき、腹の底から込み上げる熱い衝撃に涙が噴き出した。

滝のように、次々と、両目から流れ落ちた。






目標を決めて、その目標に向かって行動しているとき、

あなたもすでに、もう、そのゴールにいる。



これは、真実なのである。









私は私である。
私はあなたでもある。