20年以上前、まだ、現役で公立小学校に勤めていた頃


確か二年目だった。





屋久島から転入生が来た。




彼は、初めて会った日、



私にお土産をくれた。







屋久杉で作ったキーホルダーだった。




お土産物としては、ありがちかも知れない





が、彼の可愛いはにかんだ顔を見ながら




そのキーホルダーに触れた瞬間







不思議な感覚におそわれた。












私は、その時、絶対に屋久島に行くと決めた。









屋久杉は、触れると








温かい感じがした。



それから、20年以上過ぎた。







夢にまで見た場所は、




大自然のエネルギーに満ちていて







予想以上に素晴らしい場所だった。






私は波の音を聞きながら、涙が溢れて止まらなくなった。






美しいだけでなく、なんというか、
波も、水も風も岩も、空気感も






こんなのは初めてだと思った。

まろやかでさらさらしている。


体と体以外の境界線が薄くなっていると言えば伝わるか。


なめらかに感じられる。






滝からは、ものすごい強い風が吹き上げてきていて、
その大自然の生命力に、圧倒され、私は人間の小ささをあたらめて思った。


不思議なことに、その滝の前の強い風の中に、たくさんのトンボが集まってきていた。私たちにはわからないが、きっと理由がある。



屋久鹿は、身体が小さく可愛らしかった。

黒い蝶があちこちで舞っていた。



食べ物も美味しいものばかりで、本当に過ごしやすいところである。



そして、ここで、初めて会った人たちは、優しくて尊敬すべき人たちで、

それぞれの苦労も持ち合わせているだろうが、


間違いなく前進している人ばかりで、私は得るものしかない。






これから、樹齢7000年と言われる縄文杉に


ついに会いに行く。




夢じゃない。




本当に会いに行く。20年長かった。




神様、ありがとうございます。






私は私である。
私はあなたでもある。