
(今回は音なしです。YouTubeで適当なものがありませんでした。)
第一楽章はアレグロ・モデラート。
第一主題の始まりは、ピアノがそよ風のように、のどかな伴奏を弾き始めます。その優しい風に乗って、ヴァイオリンが憧れに満ちた長い息の旋律を歌い出します。その主題は、第22小節で疑問をそっとつぶやきます。
すると今度は、それを否定するかのように厳しい口調で始まる第28小節からの移行部へ、ピアノと対話しながら移ってゆきます。私には、ピアノの休符を伴う三連音符が馬が「ッパカッパカ」と走っているように聞こえるのですが、いかがでしょうか。
第40小節からのゆっくりと登ってゆく旋律は、光の当たり具合で様々な柔らかい色に変化してゆき、その転調の仕方はシューベルト独特のもので、素晴らしいと思います。
第二主題は弾むような、楽しい心の現れでしょうか。
そして、再びのどかに、平穏にピアノとヴァイオリンはシンコペーションの旋律を歌い上げ前半を結びます。
展開部は意外にも、今までとは違った雰囲気で緊張して始まります。悲しい、寂しいシューベルトの心を感じられます。三連音符でヴァイオリンが弾く時のピアノの音形は落ち着きません。それは不安な心なのでしょう。
一通りの告白の後、再現部にもどると、その柔らかな第一主題にほっとします。そして先ほどと同じ雰囲気で、曲は終わります。
第二楽章 スケルツォ・プレスト。
これはとても軽やかな、ユーモアな楽章です。fやpの音量の変化も非常にポイントです。
中間部/トリオの滑らかな旋律は、スケルツォの始まりかたとは対照的です。いかにもウィーン的な雰囲気で、のほほんとしています。ピアノとの対話も素敵で、弾いていてもとても楽しいトリオです。
そしてまたスケルツォのはじめに戻って、元気に曲は終わります。
第三楽章 アンダンティーノ。
ピアノとヴァイオリンの対話が非常に美しいこの楽章は、まず、シンプルな旋律の主題をヴァイオリンが歌い始めます。
第11小節目からのハッとする転調の仕方も、シューベルトらしく、夢の世界に漂っているかのようです。
ピアノが主題を歌ったあと、シューベルトは翳りを見せます。
しかし、48小節からのパッと雰囲気が変るところは、明るく軽い気持ちに再びなり、ピアノとの対話は甘く美しく、それはまるで天国にいるのを楽しんでいるかのようです。
主題に戻る前の68小節からのつぶやきの繊細なる美しさ!シューベルトの素晴らしさを味わってください。
第四楽章 アレグロ・ヴィヴァーチェ。
とても快適で楽しいフィナーレです。勢いよく始まりますが、追いかけっこをしているかのように愉快です。
第33小節目からはじまる3拍子が心地よい滑らかなる旋律も素敵ですし、第73小節目からの愛らしい微笑みを持った旋律は、弾いていてとても幸せになります。
特に第88小節目から展開部までずっと続く、ピアノと心を一つにして歌い上げる愛あふれる旋律は、弾くものも聴くものも幸せで満たせてくれます。
展開部は、その前までの雰囲気とはがらりと変って短調ではじまり、シューベルトはまたもや不安な気持ちになって、その中をさまよいます。
そして主題に戻ると再び元気を取り戻し、愛らしく、優しく音楽を楽しみます。そしてエネルギッシュにこのソナタを終えます。