
そのあとからも、先生のほかの録音を聴けば聴くほど,お気に入りディスクはどんどん増えてゆき、私の「一番好き」が沢山になってきてしまっています。
この全集はピアノフォルテで演奏されたものです。先生の演奏全体に通じるのですが,まるでモーツァルトの魂が生き生きとよみがえるかのようで、聴いていて心地よく、とっても素敵な録音です。その中でも特に私のお気に入りが(月並みかもしれませんが)、第三楽章が「トルコ行進曲」で有名なK331のイ長調ソナタです。
第一楽章のテーマからして、素晴らしい。いろいろな演奏家による録音がこの曲はありますが(中には残念なことに「何かしないと」とわざとらしかったり,嫌みがあったり,ちっとも楽しくなかったり・・・愛を感じる演奏がなかったり・・・)、先生のこの演奏は、様式感に知的なものがそっと身を隠し、あくまでも自然で愛らしく、一緒に口ずさみたくなる幸せな演奏です。
続くヴァリエーションも,時には楽しく軽やかに,時には情熱的に、そして優しく愛をこめて語ってみたり,目をキラキラ輝かせているモーツァルトを感じます。一つ一つの音が細部に至るまで考え抜かれてあり、繊細に,心を込めて弾かれ,これほどまでに愛しさを持って弾かれた演奏はあるでしょうか。また、男性らしくがっしりとした構成感もあり、力強く思い切りの良い、ブリリアントで潔く、この第一楽章だけでも聴いていて心は大満足します。
続く第二楽章は、オペラで主人公になって舞台に登場するかような始まりです。フレーズの作り方、歌い方,呼吸の仕方が素晴らしい。中間部も美しく、この楽章でも先生の歌心は素敵です。作品に生命を与えるとは,こういうことですね。
そして最後のトルコ行進曲の第三楽章へ。誰でもが知っている名曲であるだけに、難しいものがあります。その名曲に,「おお、だからやっぱり名曲なんだ!」と思わせる,名演中の名演です。この説得力はさすが!
モーツァルトの大家で有名でいらっしゃるスコダ先生ならではの、魅力あふれるソナタ全集です。
天国でのモーツァルトも、きっとニコニコしながら、さぞ嬉しそうに先生の演奏を楽しんでいることでしょうね!
ぜひ,多くの方に聴いていただきたい、聴いて幸せになれる私のおすすめディスクです。