誰でも知っている浦島太郎のお話。
助けたカメに連れられて〜でしたっけ?
歌にもなっていますが、
久しぶりにきちんと読んでみたら、
知らなかったこと、勝手に思い込んでいた
ことだらけ。
あとがきの中で松谷美代子さんが
各地に残された浦島説話をもとにまとめた
と知り、この本の素晴らしさをあらためて
感じました。
まず、助けたカメがにじいろだったこと、
カメが乙姫様だったこと、知りませんでした。
そうなの!と驚き。
その後、太郎は竜宮城の中の田んぼを
見に行き、季節が変わるのを体感します。
太郎は龍宮でずっと宴会していたわけ
ではなく、暮らしていたことが
伺えます。
去る時に引き止められ、乙姫様が残って
と言ったぐらいですから、もし竜宮城で
遊び暮らしていたにしても
それなりに好かれていた存在だったんで
しょうね。
戻ると暮らしていた村は様変わりしていて、
知らない顔ばかり。残した母親も家もない。
300年後になっていました。
開けなければいつでも竜宮城に戻れる
アイテムだった玉手箱。
ここには、太郎の若さが入っていました。
悲しみ寂しさについ玉手箱を
開けてしまう太郎。
知り合いが一人もいない故郷で
若さも失い
孤独な年寄りになる、
なんとも言えない、悲しく
恐ろしい終わり方。
子ども心に乙姫様たちはなんて意地が悪いと
思ったものです。開けるなと言われればよけい
開けてしまうだろうし、言われなくても
もらったら開けてしまうだろうし、
結末がわかるものをあえてお土産に渡す
なんて。
ただ、この結末があればこそ、この物語が
はるか昔から語り継がれる特別な
ものとなったし、共感を呼んだのでしょう。
今の絵本はライトで楽しいものが
多い気がします。
アンデルセンの人魚姫、マッチ売りの少女、
オスカーワイルドの幸福な王子は
幼稚園児で読んだ時に、胸がキュッとなる
ほど悲しく、不条理で、
何回も読み返しました。
読めば結末が変わるんじゃないかと。
主人公が不幸に見える状況にいても、
悲しくはなく後悔して
いないことを読み取りたかったのかも
しれません。
様々な浦島太郎の絵本がある中、
このうらしまたろうの本は
いわさきちひろさんの柔らかな絵、
水彩画の透明感と色使いが
目に鮮やかな美しさです。
夏休みは長く楽しい時ですが、
いつもとは違う、戦争や災害、貧困など
自分の無力さを感じることに目を背けず
できることは何か考えたり、
昔話で人生を学んだり、
太宰治を読んでこのクズな男の真実が
わかるのはわたしだけだと
変な共感をしたり、
様々な小説やアニメ、漫画、映画、
音楽、絵にどっぷり浸かるのも
この時ならでは。
心が想いに浸る経験を
してみるのも大事かなと思います。
ぶん まつたにみよこ
え いわさきちひろ
出版社 偕成社









